小野市の蓬萊務(ほうらい・つとむ)市長が、15日、ラジオ関西の生番組に出演し、「教育と医療、福祉、働く場所、この4点セットが住み良いまちの原点」と、市政について語った。
小野市は、兵庫県の中南部、東播磨のほぼ中央に位置し、市内には県内最大の一級河川、加古川が流れる。中国自動車道や山陽自動車道のインターチェンジにも近く、大阪や神戸から車で約1時間。鉄道は、JR加古川線、神戸電鉄の粟生線、北条鉄道が乗り入れる結束点のため都心部からのアクセスも良く、蓬萊市長は「住むにはもってこいの場所」と話した。また、「以前はそろばんや金物の町として伝統産業のイメージがあったが、今は4つの工業団地があり、45社の大手企業が集結している」とし、「働く場所があることで住民が増え、教育や医療、福祉、安全安心にも力を入れている」と語った。
このうち、教育については、小野市が独自の教育行政をおこなっていることを紹介。東北大学の川島隆太教授監修のもと、子どもが生まれる1年前から義務教育終了までを「16か年教育」と位置づけた、脳科学理論に基づく独自の取り組みが全国から注目されている。さらに基礎学力や体力向上を目指す「おの検定」も実施されており、「教育に力を入れるルーツは、そろばんにあるのかもしれない」とした。
医療では、神戸大学と小野市、三木市の統合病院「北播磨総合医療センター」が立地。国に「地域がん診療連携拠点病院」に指定されており、高度医療の拠点になっている。隣には「兵庫あおの病院」や福祉施設などもあり、人口1,000人あたりの医師の数が4.6人と、兵庫県内トップクラス。2025(令和7)年には、北播磨地域と臨海部をつなぐ「東播磨道」が開通予定で、これにより「北播磨医療センター」と「県立加古川医療センター」「加古川中央市民病院」の行き来がしやすくなることから、蓬萊市長は「道路は産業構造を変えるだけでなく、命を守る『命の道』」と強調した。
市民の安心・安全を守る取り組みにも力を入れる。小野市では、警察官OB23名で組織する安心安全パトロール「青パト隊」が市内を巡回している。この活動で市民の防犯意識も高まり、蓬萊市長は「犯罪認知件数が、実施前から8割以上減少した。これほどの規模で地域を守る活動をしているところは、他にないのではないか」と胸を張った。
観光スポットについて聞かれると「春は加古川沿いの『おの桜つづみ回廊』、夏は市の花であるひまわり、少し前まではコスモスが咲き誇っていた。これからの季節は、日本一低いアルプス『小野アルプス』がおすすめ」と語った。標高100メートルから200メートルの山が連なっており、ハイキング初心者でも気軽に楽しめるという。その終点には、地下1,300メートルから湧き出した温泉「白雲谷温泉・ゆぴか」があり、「ハイキングのあとに入る温泉は格別。これからの季節は紅葉を見ながらゆっくりと温泉を楽しめる。近くの県立自然公園『鴨池』には、冬になると渡鳥が飛来する」と、秋から冬にかけての魅力を紹介した。
また、小野市では12月3日に「冬のおの恋 小野ハーフマラソン」が開催される。「おの恋」とは、「小野に恋して、小野に来てほしい」という思いを込めた言葉で、大会には5,300人がエントリー。プロ野球・阪神タイガースOBの赤星憲広さんが大会会長を務め、小野市出身で北京オリンピック女子5,000メートルに出場した小林祐梨子さんや、阪神やオリックスの選手もゲストランナーとして参加する。蓬莱市長は、「スポーツといえば、陸上女子1,500メートルと5,000メートルで東京オリンピックに出場した田中希実選手や、プロ野球・パリーグ3連覇を果たしたオリックスの東晃平選手も小野市出身。小野で育った選手たちが元気に活躍している」と、微笑んだ。