女子サッカー・WEリーグは、序盤の第4節が終了。3勝1分け勝点10の日テレ・東京ヴェルディベレーザが首位に立ち、1試合少ないINAC神戸レオネッサは3連勝で勝点9の2位、同じく1試合未消化の三菱重工浦和レッズレディースが2勝1分け勝点7の3位と、早くも3強が上位に立っています。
そのなかで、2シーズンぶりのリーグタイトル奪還を目指すINAC神戸は、11月26日、ホームのノエビアスタジアム神戸でノジマステラ神奈川相模原と対戦し、MF成宮唯選手とFW高瀬愛実選手(※「高」=はしごだか)のゴールで2-0と勝利しました。
前日には同じノエスタでJ1のヴィッセル神戸が初優勝を達成。その余韻も残るなかでの試合は、序盤こそ初勝利を狙うN相模原の勢いに押されますが、INAC神戸は15分に先制点を獲得。ワンツーで右サイド敵陣深くまで入ったDF守屋都弥選手の折り返しに、成宮選手が右足をダイレクトであわせました。ホームチームはこれで主導権を握ります。
その後は追加点を奪えず、ピンチもあったINAC神戸ですが、76分に待望の追加点。守屋選手の右クロスに、途中出場したばかりのFW高瀬選手がヘディングであわせると、相手GKの手の届かない絶妙なコースに決まり、リードを広げました。終了間際には高卒ルーキーDF松木葵選手が公式戦初出場を果たしたチームは、3試合連続クリーンシートでの勝利をおさめました。
この試合について、元なでしこジャパン(日本女子代表)DF川上直子氏は、「ノジマは勝ちがなかったので、なんとしても勝ちたいという気持ちで臨んできて、最初のほうはINACのゴール前までせまってきた。そこを一気に打開したのは、左サイドの北川ひかる選手。自らドリブルで仕掛けてシュートまで持ち込んだ。あのシーンからINACペースに持って行けた」と、流れを変えた北川選手のワンプレーを評価。
今シーズン初ゴールとなる先制点を決めた成宮選手については、「(ゴールは)すごく冷静だった。今シーズンが始まってから、試合の中ではずっと、『ここに成宮』『あそこにも成宮』というように、豊富な運動量をいかして、すごくがんばっているし、すごく調子がいいのが伝わってくる。本人が結果を出せたことは見ている側としてもうれしい」と、なでしこ復帰を目指す背番号10の頼もしさを称えていました。
そのほか、INAC勢では今シーズンに入って先発を続ける生え抜きMF天野紗選手、新加入DF松原優菜選手の奮闘ぶりも目立っています。2選手について、「天野選手は落ち着いてきたし、試合を経て勝つことで自分に自信を持ってプレーできている」「松原選手はINACで公式戦を経験し、試合勘が戻りつつある。カップ戦のときより今のほうがいい。安心して観ていられる」と、実戦での成長を感じているようでした。
そして、この試合で2アシストをした守屋選手について、川上氏がパーソナリティーを務めるラジオ番組のリスナーからは「スピード、コントロール、タイミングとも、最高のクロスで得点をアシストした」、「攻守の要となり、全2ゴールをスーパーアシスト、素晴らしいパスが光っていた」と絶賛の声も。しかし、その一方で川上氏は、「得点シーンに関しては非常に良かったと思うが、プレーの中で行くのかどうなのか悩んでいるシーンも垣間見えた。去年(昨シーズン)はもっとキレキレのときがあったのを知っているので、絶好調ではないのかなと思った」と、女子W杯でもプレーした右サイドのスペシャリストのさらなる奮起を待望していました。
今週末、WEリーグはお休み。なでしこジャパンがブラジル・サンパウロで11月30日(日本時間12月1日早朝)と12月3日にブラジル女子代表と親善試合を行います。その後、WEリーグ第5節は12月9日に4試合、12月10日に2試合が予定され、INAC神戸は9日午後2時から5位AC長野パルセイロ・レディースとアウェイの長野Uスタジアムで対戦します。
※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2023年11月27日放送回より