1枚の葉から紡がれる、童話のような切り絵で知られる「葉っぱ切り絵アーティスト」、リトさん(37)。神戸では初となるリトさんの作品展「リト@葉っぱ切り絵展~葉っぱの小旅行in兵庫~」が大丸神戸店(神戸市中央区)で開催されている。会場を訪れたリトさんに、作品にまつわる話や作り手としての思いなどを聞いた。
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リトさんの作品は、近所の公園などで手に入れた葉っぱにペン先幅0.05ミリのペンで動物や自然などの絵を描き、線に沿ってナイフで緻密に切り出したもの。小さな葉っぱの中で展開する繊細かつハートフルな世界は、SNSを通じて多くの人を魅了している。
今回の展示では、54点の作品の現物とともに、リトさんがこれまでSNSで公開してきた作品の画像もパネルで紹介。現物とパネルを見比べながら、作品を隅々まで堪能できる。
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展示の目玉の一つは、兵庫県をテーマに制作した「葉っぱの小旅行in兵庫」。姫路城やポートタワーなどの名所に加え、港を連想するいかりのマーク、明石焼を食べるタコ、空を飛ぶコウノトリなど、兵庫にちなんだモチーフが葉の中に凝縮して表現されている。右端で手をつなぐウサギとネズミは、「一緒に兵庫に遊びに来たイメージ」とのこと。デザインを決める時間も入れると、制作に10時間くらいかかったという。
リトさんは「お城やタワーはぱっと見て分かるよう工夫した。限られたスペースに何を入れるか考えるのが一番難しいです」と話す。
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リトさんが葉っぱ切り絵を始めたのは2020年。もともとサラリーマンだったが、「物忘れが多く、不器用で要領が悪く」、転職を繰り返した。病院で「ADHD(注意欠陥・多動性障害)」の診断を受けたのをきっかけに会社を辞め、自身の「偏った集中力やこだわりを前向きに生かすため」独学でアート制作をスタート。毎日のようにSNSに投稿し続けた葉っぱの切り絵が注目され、現在のフォロワーは約70万人に。出版した作品集や絵本も人気を集め、国内のテレビや新聞ばかりでなく、外国のネットメディアでも取り上げられている。
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これまでも各地で展示会を開いているが、毎回、「お客さん、来てくれるかなと不安になって、お腹が痛くなります」と明かす。一方、会場で言葉を交わした人たちから、作品について想定していなかった解釈を聞き、驚くこともしばしばあるという。「『そんな見方もあったのか』と気づかされます」。
日々、SNSに投稿する画像は、すべて自らのスマホで撮影している。青空や木々、夕焼けをバックにした切り絵の写真自体が一つのアートだ。だが、「画像だと実際より大きな葉っぱに見えてしまう」(リトさん)。展示で作品の現物を見てもらうことで「実際のサイズはこんなに小さいのかと感じてもらえる。葉の凹凸や曲がり具合も観察してもらって、肉眼で見えないほどの技術を実感してほしい」と期待を寄せる。
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