―――最盛期はいつ?
【土橋さん】 多方面からの協力もあり、発売開始後すぐに全国的な人気となりました。反響が大きかったため、1980年にはツナピコ専用工場が建てられました。
当時の工場では、包装済みの商品を巨大な扇風機の前に落とす、という作業がありました。要は、扇風機に飛ばされるものは軽い=中身が少ないという判断のもと、巨大扇風機の風量をくぐり抜けたものだけが製品となったんです。
当時は大量に生産されていたので、従業員は規格外のツナピコが入った一斗缶を格安で購入することもできました。
―――現在も製法は変わらない?
【土橋さん】 実は現在、弊社での製造は終了しているんです。もともと安くはなかったのですが、徐々に上がっていく魚価の関係で2000年ごろから徐々に生産数を減らし、その後、内容量が非常に少ないうえにとても高い商品になってしまうことから販売を終了することになりました。
しかし、多くのお客さまからのご要望があり、他社さんに包装技術などをお伝えして「乾燥珍味」という形で今も製造を続けていただいています。従来の製造方法とは異なるのですが、変わらずおいしく提供してもらっています。
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土橋さんによると、創業者は商品名にもかなりこだわった様子。その結果、「小さい=pico」「ツナ」を意味する、「ツナピコ」というキャッチ―なフレーズが採用されたといいます。
こだわり抜いた味と見た目で、幅広い年齢層を魅了した「ツナピコ」。今日の晩酌には、ちょっと懐かしい“アテ”を選んでみるのもいいかもしれませんね。
※ラジオ関西『Clip』2023年12月7日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)