いたずら好きのスターは、アーシャが大事にしている子ヤギのバレンティノに金の粉をふりかけました。金の粉を口の中に入れてもぐもぐしているバレンティノを見て、アーシャは驚きます。
「バレンティノ、食べちゃダメよ」
次の瞬間、バレンティノに変化が起きました。
「魔法なんて起こらないじゃないか.....あれ? しゃべってるぞ!」
バレンティノはとつぜん人間の言葉を話せるようになりました。スターが持つ魔法の力で、森の生き物たちも次々と声に出して感情を伝えられるようになりました。
アーシャは人々のために立ち上がりました。幼なじみの仲間たちの助けを借り、スターとともにお城へ忍び込みます。
「私たちの願いを王様から取り戻すのよ!」
今作は、1923年に活動をスタートしたウォルト・ディズニー・カンパニーの創立100周年を記念したミュージカル作品です。ディズニー100 年のレガシーを受け継ぎ、今後100年の幕開けを告げると銘打った劇場アニメで、『アナと雪の女王』の制作陣が手がけています。
ディズニー・アニメーション・スタジオ制作部門のトップ、チーフ・クリエイティブ・オフィサーを務めるジェニファー・リーが脚本を書き、アナ雪をともに作ったクリス・バックに監督を依頼しました。
バック監督は作品に取りかかる段階で、制作陣がインスピレーションを得られるようにと、ディズニーの映画全作品のスチール写真を壁に貼ったそうです。監督は、ウォルト・ディズニーが築いてきた伝統を継ぎながら、現代に合った映画としてウォルトならこうしただろうという作品として実現したいと考えました。壁に貼った写真を見つめ直すと、共通点が浮かび上がりました。
「それはキャラクターが“星に向かって願いを唱える”こと。僕たちは『これだ!』と思いました」(バック監督)
100年間のレガシーを徹底的に振り返り、過去の手法を研究した結果、今作に古典的なヴィランや人間の言葉を話す動物を登場させることになりました。主人公アーシャが大きな木の上で夜空の星に願いをかける場面は、ウォルトが幼い頃に過ごしたミズーリ州マーセリンにある「ドリーミング・ツリー」という、巨大な綿の木がヒントになっているそうです。
バック監督は、『アナと雪の女王』や『モアナと伝説の海』に関わったスタジオの新鋭ファウン・ヴィーラスンソーンを共同監督に迎えました。「次の100年に向けて次世代へバトンをつなごう」という思いを込めています。
ミュージカルとして劇中を彩る楽曲を作ったのは、シンガーソングライターとして活動する音楽家ジュリア・マイケルズです。アーシャが夜空の星を見上げて歌う「ウィッシュ〜この願い〜」など全7曲を書き下ろしました。
キャラクターの声と歌は、ハリウッドの実力派キャストが揃いました。『ウエスト・サイド・ストーリー』でアカデミー助演女優賞に輝いたアリアナ・デボーズがアーシャを演じ、『スター・トレック』シリーズのクリス・パインがマグニフィコ王、『ラーヤと龍の王国』など多くのディズニー作品に参加したアラン・テュディックがアーシャの相棒の子ヤギ・バレンティノに扮しています。
日本語版の声優は、アーシャを生田絵梨花が演じます。生田の演技と歌はアーシャの心の揺れ動きと成長する様子を繊細に表現しているとして、ディズニーの本社の担当者が絶賛しているそうです。マグニフィコ王役が福山雅治、子ヤギのバレンティノは山寺宏一です。
生田は12月8日に行われた大阪プレミア試写会の舞台で、サプライズとして「ウィッシュ〜この願い〜」を披露しました。このとき、曲の歌詞で“あきらめることはない”という部分を強調していることを明かしています。
「最初は迷いや不安があるけれど、この曲を経て心情が大きく変化していくので、“あきらめることはない”に強い思いを込めて歌っています」(生田)
また、振り付けのポイントについては「サビが3回あるんですけど、だんだん強くなっていくのが大事だと思うので.....最後は思いきり振りかぶって落とすのがコツ」と語りました。