兵庫県姫路市立小学校の特別支援学級で、男性教諭からの暴言や体罰を受け、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症したなどとして、男子児童2人(現在も在学・6年/11歳)と保護者が18日、姫路市を相手に計2000万円の損害賠償を求める訴訟を神戸地裁姫路支部に起こした。
この男性教諭は姫路市立小学校で2018年から特別支援学級の担任をしていた。
教諭は2021年6月、児童に「お前なんかクソ以下。必要ない」などと言って、児童の腕を振り回すなどの行為を繰り返したという。
姫路市教委は、教諭が2018年度以降、担任する児童6人に対する計34件の暴行、暴言を認定し、教諭を懲戒免職とした。
訴状によると、教諭は原告の児童2人が1年から4年(2018~2021年度)までの間、「お前は生きる価値なし」「早く転校しろ」などと繰り返し発言。
また、児童らが自分の指導に従わず、指導に対して反論すると逆上し、足をかけて倒れ込ませたり、頭を机に押しつけるなどの暴行に及んだ。
そして、学校内の支援員に対して「こんな奴らに教える意味あります?」などと同意を求め、児童らの人格を否定していた。
このほか無理やりプールに放り込む体罰や、「あんたは自閉症がきつい」などと児童を蔑(さげす)む発言もあったという。
児童は現在もこの学校に通学しているが、感情が抑えられない、眠れないなど精神的に不安定な状態が続き、このうち1人は自傷行為もあるという.。医師からはPTSDと診断されている。
児童側は「小学1~4年という最も重要な時期に健全な発達がゆがめられ、本来安全であるはずの学校で毎日のように危険にさらされ、著しい精神的苦痛を強いられた」と訴え、校長ら管理職も教諭の虐待行為を把握しながら放置した責任があると主張し、児童1人当たり1000万円の賠償を求めている。
さらに保護者は被害を訴えた際の学校側の対応に「聞く耳を持たず、まるでモンスターペアレンツのように扱われ、悔しい。真相が知りたいだけだったのに」と怒りをあらわにした。
そして「教師のストレスのはけ口になっていたかのような扱いとも受け止めかねない」と話した。
児童側の代理人弁護士は「被害児童への救済は置き去りにされている。被害はこの2人の児童にとどまらないが、少なくともこの2人に関しては、学校現場で何があったのか、真相を明らかにすることで障がいを持つ子どもたちを守りたい」と話した。
提訴を受け姫路市は「重く受け止めている。内容を精査した上で、真摯に対応してまいりたい」とコメントした。