「スケバン」は最先端の若者文化だった?日本独自の不良カルチャーの起源にせまる | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「スケバン」は最先端の若者文化だった?日本独自の不良カルチャーの起源にせまる

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【橋本】 めっちゃいいじゃないですか! 「仁義」って言うんですか? 冒頭の「わたくし生まれも育ちも茅ヶ崎です。グレ出したのが16の春……」シビれます(笑)。

【中将】 もともとは都会の若者文化だったスケバンが、こんな感じに誤解されて全国津々浦々に広まっていくわけですね(笑)。

 ちなみにスケバンという言葉が普及する前から同様の不良少女は存在して、彼女たちをテーマにしたメディア作品も存在しました。和田アキ子さんの俳優デビュー作となった映画『女番長 野良猫ロック』(1970)はその代表的な作品です。主題歌の『男と女のロック』も和田さんが歌ってますね。

【橋本】 かっこいい曲ですね! 映画はどんな内容なんですか?

【中将】 新宿西口一帯の縄張りを争う非行少女グループの対立を描いています。さっそうと現れ、敵を蹴散らすものの周囲の不良女たちから「男と間違われていた」という和田さんらしい出オチもあるのですが、ともかく作品としては大ヒットとなり、以後は范文雀さんや梶芽衣子さん主演でシリーズ化されました。

【橋本】 和田さん、当時からそういうポジションだったんですね(笑)。

【中将】 当時で170cmを超える女性なんてなかなかいなかったですからね(※和田さんは公称174cm)。デビュー前は実際に大阪で不良していたという和田さんならではの迫力です。さっそうとしたバイカーファッションで、もちろん脱いだりはしてないのでご安心ください(笑)。

【橋本】 (笑)。

【中将】 さて、スケバン映画でもう一つ外せないのが、大信田礼子さんが主演した『ずべ公番長シリーズ』。菜津美ちゃんは「ずべ公」って意味わかりますか?

【橋本】 全然わかんないですね……物事をズケズケいう人とか?

【中将】 わかんなくて当たり前ですね(笑)。「ずべ公」というのはスケバン同様、不良少女を指す言葉で、戦前から使われていたそうです。

【橋本】 「スケバン」以前にもいろんな言葉があったんですね……。先生を「先公」と呼ぶのと同じノリでしょうか。

【中将】 渋谷の「ハチ公」も戦前ですしね(笑)。まぁ、そんな言葉を冠した『ずべ公番長シリーズ』の第1作は『ずべ公番長 夢は夜ひらく』。藤圭子さんが歌い大ヒットしていた『圭子の夢は夜ひらく』(1970)が主題曲で、藤さん本人も出演しています。ヒッピーファッションやビキニルックなど最新のファッションをまとった不良少女たちが新宿の街でヤクザ相手に大立ち回りするというトンでもな内容で大ヒットをおさめました。

【橋本】 すでに流行っていた曲を元に映画を作ったんですか?

【中将】 ストーリーとかはほとんど関係ないんだけど、インスパイアはされていたのかもしれませんね。「十五、十六、十七と 私の人生暗かった」なんてフレーズはまさに不良少女っぽいし、商業戦略的にも巧みだと思います。

【橋本】 めちゃくちゃムードのある名曲だし、どんな出来になるかわからないテーマ曲をイチから作るより確実ですね。

【中将】 このシリーズでは第4作の『ずべ公番長 ざんげの値打もない』(1971)でも、前年にリリースされヒットしていた北原ミレイさんの『ざんげの値打もない』(1970)を主題歌に選んでいます。『圭子の夢は夜ひらく』と同様、救いようのない歌詞ですが、これも当時の不良少女たちのメンタルが反映されているような気もします。時代自体が今よりもまだまだ暗かったんでしょうね。


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