電車のなかに、ズラ〜っと横並びに座るようなタイプの座席ってありますよね。6人掛けや8人掛けなど、座席の長さによって座れる人数なんかもわかるんですが……。今回は、そんな電車の座席にまつわるお話です。
阪急電車の車両内には、独立しているかのように2人掛けの座席がポツンとあるんです。
割とキュッとした狭めの2人席ですから、2人座ると肩を寄せ合うようになってしまったり、ひざ同士が当たったりと、少々密着して座らなければならず、正直、知らない者同士ではなかなか座りづらいようなサイズ感の座席なんです。
たとえば、カップルとかご夫婦ですと仲むつまじく座れるって感じなんで……巷では「カップルシート」「LOVEラブ席」なんて呼ばれたりもしてるんです。
そこに座っていたご夫婦に話を聞いてみますと、奥さんが「もう若いころからずっと2人で座ったりしてますよ」と、ニコニコ笑顔で語ってくれました。
旦那さんにも同意を求めるように「2人だけで座れて、ゆっくりお話できるやんなあ」と言うと、旦那さんは「むりやり手を引っ張ってここに座らせるねんで」と、まんざらでもないような、恥ずかしそうな笑顔で答えてくれました。
LOVEラブ席に座っていた大学生カップルにも話を聞いてみましたら……。2人とも阪急沿線で通う間に、なんとなく意識しあっていたそう。「どうなんだろう?」と思っていたときに、彼からなにげなく「ここに座ろう」と誘われ、「ああ、そうなんや」とわかって付き合いはじめたのだとか。つまり、このLOVEラブ席が交際のきっかけになったんですね。
阪急電鉄株式会社の広報担当者に座席のことを聞いてみたところ、「ごめんなさいなんですが、この座席は『カップルシート』や『LOVEラブ席』として作られたわけではないんです」と申し訳なさそうに答えてくれました。
なんでも、運転席の後方に位置するこの座席は乗降扉との間のスペースに作られたことから、どうしてもこのサイズになってしまうのだそう。ですから、サイズは少し小さい普通の座席といえば座席なんです。