サッカー・J1のヴィッセル神戸で2005年~2017年まで13年にわたってプレーした田中英雄氏が、ラジオ関西で放送されたヴィッセルJ1初優勝特別番組にゲスト出演。愛着あるクラブのJ1初優勝の感想、現役時代にともにプレーしていた吉田孝行監督への思いなどを語りました。
今回のJ1リーグ制覇については「優勝したのは、選手、スタッフはじめ今年関わった皆さんの結果だと思う」と、現場で奮闘したチームに感謝を述べた田中氏。優勝が決まった直後は、「自分でも思っていなかったような、想像できない感情が出てきた」そうです。「いろんな選手、スタッフ、ファン・サポーター、神戸市民の皆さんを含め、これまで29年間にわたって関わってくれた人たちの“紡ぎ合わせた”思いが、今年、集大成になって実ってよかった」と、思い入れの強いクリムゾンレッドの栄冠に感慨ひとしおの様子でした。
現チームの吉田孝行監督、北本久仁衛コーチ、菅原智コーチらは、田中氏がヴィッセルで現役時代にともにプレーしていたメンバー。優勝決定後、彼らには特に連絡はしていないそうですが、「一緒の時代を戦い抜いた選手が、監督、コーチになって、ヴィッセルで優勝するというのは、やっぱりうれしい」と、クラブの歴史を築いてきた仲間の功績も称えていました。
そのなかで、吉田監督については、選手同士としてだけでなく、2017年の最初のヴィッセル監督時代も、監督と選手という間柄で直接関わっている田中氏。当初からの変化については、「監督やコーチなどいろんな経験もありつつ、タカさん自身も成長しているでしょうし、なにせ優勝監督ですから! この1年の経験はタカさんにとっても、選手、スタッフ、チームにとっても、今後につながるすごくいい経験だったと思うので、(来シーズン以降)また違った“監督のタカさん”になっているんじゃないかなと思う」と、優勝監督賞を受賞した指揮官のさらなる進化に期待をかけていました。
今シーズンのヴィッセルを外から見ていた田中氏は、優勝の要因の1つにチームの一体感をあげます。
「例えばけが人が出て、急きょ若い子など、いつも出ていない選手がスタメンで出るとなったときに、今年のヴィッセルではそういう選手が結果を出すなど、いいプレーをした。それは、日頃の練習からすごくモチベーション高くトレーニングしていないと、やっぱり(力は)出せないもの。そういう部分では、コーチのクニさん、スガさんとかが常に若い選手に気をかけていたり、モチベーションを保っていたりしたんじゃないかなと、僕は勝手に想像している。出ている選手だけじゃなく、選手、スタッフ全体でいい状態、いいチーム力を作れていたのかなと思う」
また、Jリーグベストイレブンにも選ばれたヴィッセルの“四天王”、リーグMVPのFW大迫勇也選手や、FW武藤嘉紀選手、MF山口蛍選手、DF酒井高徳選手の存在感の大きさを絶賛していた田中氏。彼らに刺激を受けた若手の台頭にも目を向け、「MF佐々木大樹選手やDF山川哲史選手のようなヴィッセルの育成組織から育ってきた選手たちがトップチームで花を咲かすというのは、1番チームとしてあるべき姿だと思うし、そういう選手が活躍して、なおかつ優勝することができた。これは今後も続けていかなきゃいけないこと」と、育成の重要性も語っていました。
今年のヴィッセルは、シーズン途中にMFアンドレス・イニエスタ選手が退団。近年のクリムゾンレッドの象徴となっていたキャプテン、大黒柱との別れも、チームにとって大きなトピックでした。
田中氏は、「アンドレスの退団というのは、皆さんにとって大きなことだったと思うが、簡単に言うと、サッカー界では(時として)あること。同じサッカー(というスポーツ)で戦っている部分で、選手が一番そういうこともあると理解していたんじゃないかなと、僕は想像している」とコメント。「ただし、アンドレスも(ヴィッセルの歴史を)“紡いで”くれた1人であることには、これはもう絶対的に間違いないこと。いなくなった選手を含め、みんなで“紡いで”きたことが、最終的に結果につながったし、一体感につながったと思う」と、イニエスタ選手らの功績にも触れていました。
クラブ創設29年でのJ1初制覇について、「僕自身、29年間が長かったとか、短かかったとかは、あまりそういうことは思わない」という田中氏は、「どんな常勝チームも、優勝を何回経験してるチームでも、初優勝は必ずあるもの。このJ1リーグ初優勝という経験が大事」と、リーグタイトルの重みにも言及していました。
※ラジオ関西『GOGO!ヴィッセル神戸~J1初優勝スペシャル~』より