世界中に大きな経済的打撃も与えた新型コロナ。各企業は、“元に戻す”以上に新たな道の開拓を模索している。そこで今年9月、ポストコロナのビジネスチャンスを探ろうと、地元信用金庫が主催する『こうべしんきん ビジネスメッセ 2023』が兵庫県神戸市内で開かれた。
今シリーズでは、メッセを通じて発信された、兵庫・神戸の企業の独自技術やサービスを全23回にわたって紹介する。第20回は、プリンターや複写機の心臓部の開発を手掛けるライズテック株式会社(神戸市長田区)。
☆☆☆☆☆
ライズテック株式会社は、2019年に上向き自動液体噴出装置『リキッドジェット』を開発した。キューブ型のボックスに手をかざすと消毒液が“上に”噴出する仕組みで、液だれなどの心配が要らない。
元は、スーパーなどでレジ袋をめくる際の滑り止めや、ティッシュにアルコールを含ませる時などに指先を濡らす装置として開発を進めていた。ところが、共同開発を行っていた企業の社長が試作機を介護施設へ持って行ったところ、高齢者が指先ではなく手のひらをかざしてしまうケースがあったため、仕様を見直して現在の『リキッドジェット』が誕生したのだそう。
「噴霧」でなく「噴射」、しかも消毒効果を維持させたまま噴射する技術は注目に値するとのことで、国内外で特許を取得するに至っている。
そんな同社がビジネスメッセで展示していたのは『特殊搬送ベルト』。繊維の技術を応用した、ニット構造のベルトで通気性が高い。一般的に機械内で使われるゴム製のローラー仕様のベルトは、重量が大きい。「重いということは、それだけの物質の量を使っていることになる。ニットベルトは(素材自体が軽い上に、編み物・織物状になっていることから)ゴムに比べて10分の1ぐらいの重さになる。(あらゆる面で)SDGsにかなっているんじゃないかと思っています」と話すのは代表取締役の庄司進さん。
まだまだ多くの製品で従来のゴム製ローラーが用いられている現状は、目の前に非常に大きな市場が広がっていると捉えられる。「ビジネスメッセでの展示を通して多くの方に興味を持ってもらえた。自分たちがやってきたことの方向性は間違っていないと感じることができました」と庄司さんは笑顔を見せた。
※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2023年10月11日放送回より
※記事に記載の回数は放送順です。記事の公開は順番が前後する場合があります。