廃校になった小学校を活用した観光施設「北野工房のまち」(神戸市中央区)が28日、四半世紀の歴史に幕を下ろし、閉館する。レトロな雰囲気の中、さまざまな手作り体験ができる場所として親しまれ、多くの観光客らが訪れる人気スポットだった。
同施設は、神戸市立北野小学校(1908[明治41]年~1996[平成8年])の1931(昭和6)年築の校舎を使い、1998年に開館。神戸の地場産品である革や真珠の加工をはじめ、ろうそくやアクセサリーなど多彩な制作メニューの工房(店)が並び、幼児から大人、修学旅行生や外国人観光客まで幅広く利用されてきた。スイーツや豚まん、灘の酒など神戸土産を扱うショップ、コンサートやイベントが開かれる講堂もあり、今月中旬には来館者が2000万人を突破した。
閉館は事業者変更に伴うもので、建物の改修工事を経て2024年秋ごろ、神戸の食材を使ったレストランなどが入る新施設がオープンする。
子どもが小さい頃、親子でキャンドル作りをしたことがあるという神戸市内の女性(42)は、「どこか懐かしい感じのする室内での作業は、なんだか癒された。思い出の場所なので寂しいです」と、残念そうな口調。「北野工房―」の宇都宮剛館長は「神戸に里帰りするたびにお子さんと来てくれていたお母さん、楽しそうに手作りに取り組む高齢の団体さんもいた。近くの小学生たちに、この建物の歴史を伝える授業を私が行ったこともあります」と振り返り、「25年間、ありがとうございました。閉館後も建物をそのまま大切に保存して、地域の人たちのために役立ててほしい」と話した。
28日も通常と同じく午後6時まで営業する。入館無料。問い合わせは同館078―221-6868。