プロスポーツの結果は毎年変わるが、「税」に関しては今後ずっと関わることになる可能性が高い。2014年にも「税」が選ばれたが、この時は17年ぶりに消費税が(5%から)8%に引き上げられたインパクトの大きさが影響した。
しかし、今年(2023年)の場合は、国会で現在進行形で税に関する議論が繰り広げられ、「増税か、減税か」という政府の方針を不安視しているように思える。
インボイス制度や、ふるさと納税のルールの厳格化、酒税の改正、導入が目前に迫った新NISA(少額投資非課税制度)と多岐にわたったことも要因かも知れない。
新型コロナウイルス感染拡大のなか、3年近く日常生活のあり方を見つめ、“地に足をつけた”考え方が定着したとも受け取れる。また国会に対しても真剣な、実態に即した議論を望む声なのだろう。「減税すれば(内閣)支持率があがる、またその逆も…」という目先のことではなく、「これからの日本、どうなっていくのだろう」という思いも強い。
「今年の漢字」、これまでの29回を振り返ると、「災」「戦」「震」「偽」など、上位にはプラスイメージの文字が躍り出ることはほとんどない。
ただ、今年の場合、トップ20に「勝」(5位)、「楽」(10位)、「明」(14位)、「和」(17位)、「優」(18位)、「幸」(20位)が並ぶ。コロナ禍が少し落ち着き、前向きな気持ちもうかがわせる得票になった。
「今年の漢字」は、予想するものではなく、印象に残った漢字一文字を投票するもの。いろいろなことが私たちの生活を取り巻き、思いつく漢字1文字が分散すると、全体の応募数は減る傾向にある。
東日本大震災が起きた2011年、「絆」は49万6997票の応募のうち、6万1453票1453票(12.36%)を集めた。この年は、「私たちが向かう先は“絆”のある日常」という、皆さんの思いがひとつだったが、今年は「シビアで、政治に対する“いら立ち”」も込めた投票だったのではないか。