年商100億円超え 元起業家が吐露 「出家前は人を蹴落としてでも数字を作ることが苦しかった」 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

年商100億円超え 元起業家が吐露 「出家前は人を蹴落としてでも数字を作ることが苦しかった」

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 年商100億円超えのIT企業でCEOを務めた元起業家で、現在は僧侶の小野龍光さんがラジオ番組に出演。出家の理由やいまの日本への思いを語りました。

僧侶の小野龍光さん(写真中央)、『セケンテー/ぼくらは囚われない』パーソナリティーのCEOセオ(同右)と田中大貴(同左)

 かつては、IT業界で活躍し資本主義の世界で成功をおさめた小野さん。株式会社シーエー・モバイル(現:株式会社CAM)の立ち上げメンバーであり、サイバーエージェントグループやグルーポン・ジャパン、17LIVE(イチナナ)株式会社などの企業において重要な役割を果たしてきました。そんな小野さんの人生は、インドでの“とある”出会いによって大きく変わります。

 2022年のインド旅行中、小野さんが出会ったのは、インド仏教会のトップに立つ高僧、佐々井秀嶺(ささい・しゅうれい)上人。1億5000万人の仏教徒を率いる影響力のあるリーダーから「坊主になれ」と言われたことが、小野さんの生き方を変えるきっかけとなりました。

 出家前の自身について、「欲にあふれた数字ばかり追いかけるということをやっていた。くだらない人間でありました」と振り返った小野さん。現在は、自分ではなく他人のためにお金を使い、移動は徒歩。必要がなければ野宿し、食事がなければ断食するという極めて質素な生活を送っていると話します。

 出家した際に多くの物を捨てたそうですが、スマートフォンは持ち続けているのだそう。その理由は、「人々の役に立つために現代のテクノロジーを最小限利用するため」。X(旧Twitter)などのソーシャルメディアや「龍光ポスト」というウェブフォームを通じて、相談や問い合わせに応じています。

 その龍光ポストで公開されているスケジュールには、日本国内のみならず、ヨーロッパ、アメリカのカリフォルニアやロサンゼルスなど、海外での活動も。いまは講演活動を中心としながら、現地の福祉施設訪問や経済格差の視察なども行っています。

「日本には、以前より道徳と宗教に対する関心の薄さがある」と語る小野さんは、「経済成長や数字の追求がモラルや道徳を置き去りにし、多くの問題を引き起こしている」と考えているのだそう。最近は若手経営者からの相談が多いようで、小野さんは「数字の追求だけでは幸せになれない」ことを実感しています。

「経営者として強くなりたい。そうするためにはお金を稼ぎたいと気持ちもありながら、『果たしてそれでいいんだっけ』という悩みの両方を持っているんだと思います」と持論を述べた、小野さん。

 かつてIT業界に身を置いていたなか、ビジネスを通して人々の役に立とうとしたものの気づけば数字の成長が第一義となり、「その過程で人を蹴落とすことになったのが苦しかった」と当時を振り返りました。この経験から、「人のためになることを第一に考える生き方を目指すようになった」と明かしました。

「現代の日本には道徳と宗教に対する関心の薄さがある」という考えの一方で、小野さんは仏教への関心の高まりを感じているといいます。2023年の大改宗式では日本から14人が出家したことからも、「仏教は多くの人々にとって重要な選択肢になった」と考えられるのだそう。出家者のなかには24歳ほどの若者もおり、「これは現代社会において数字以外の価値観が求められていることを示している」と熱弁しました。

 自身の経験を踏まえ、「数字の成長がかっこよく・正しいとされる現代社会において、それ以外の生き方も存在する」と強調した小野さん。最後に「自分が信じているものや、常に追い求めている目標から一度離れてみることで新たな世界が見える可能性がある」と、語りました。

※ラジオ関西『セケンテー/ぼくらは囚われない』2023年12月16日放送回より


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『セケンテー/ぼくらは囚われない』
放送日時:毎週土曜日 20:00~
放送局:ラジオ関西(AM 558KHz / FM 91.1MHz)
連続起業家兼アーティストのCEOセオとフリーアナウンサー田中大貴がパーソナリティーを務める。

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