『柘植』を出るとしばらくはまっすぐな線形が続き、時速80kmで軽快に駆け抜けながら『新堂』『佐那具』と伊賀盆地の駅を過ぎていきます。
『伊賀上野』は、『亀山』~『加茂』間のちょうど中間拠点となる駅。ここで忍者列車が伊賀の市街地と近鉄『伊賀神戸』とを結ぶ伊賀鉄道と接続します。城下町・伊賀上野は松阪に優るとも劣らない牛肉の本場。中でも明治38年創業の老舗「元祖伊賀肉・金谷」本店は、少々値は張りますが、歴史を感じる座敷でいただく伊賀牛は充分に値打ちがあります。
『島ヶ原』を過ぎると三重県から京都府・南山城村に入って、梅林で有名な『月ヶ瀬口』に到着です。関西随一のスケールを誇る月ヶ瀬梅渓では、名張川の渓谷に1万3千本が咲き誇り早春の到来を告げてくれます。
そして『大河原』を過ぎると沿線随一の景観を誇る木津川橋梁へと差し掛かり、列車はゆっくりと鉄橋を通過していきます。
『笠置』は人口わずか1100人余りと京都府で一番少ない笠置町の玄関口。明治30年開業のホームは、春になると桜が満開になって出迎えてくれます。駅すぐの木津川下流には笠置キャンプ場があり、老舗の「フジタカヌー」は多くのスクールやツアーを開催しています。また笠置寺は巨石に刻まれた「弥勒摩崖仏」がご本尊という真言宗の古刹です。