島根県の、ちょうど真ん中に位置する川本町。人口はおよそ3000人。面積も含め、離島を除くと島根県で一番小さい自治体である。特産品は、健康食品としても注目を集める「えごま」だ。同町は多くの助成金や補助金でUIターンを支援しており、特に子育て支援に力を入れる。18歳未満の医療費・保育料無料に加え、令和6年からは小中学校の給食も無料になる。大自然という環境と充実した制度を求め、多くの人々から問合せがあるという。
そして今、UIターンを促すための大きなプロジェクトが動き始めた。『川本町女子野球クラブチーム構想』だ。
これは、女子野球タウン認定の申請に合わせて、国の地域おこし協力隊制度を活用した「女子硬式野球クラブ」を創設するというもの。チームの監督・スタッフ・選手は地域おこし協力隊として川本町に住み、3年間は国からの支援で活動することができる。
期間中は基本野球メインの生活を送ることになるが、メンバー達は川本町への移住・定住の窓口や観光協会の業務を担っている組織『かわもと暮らし』に所属し、イベントの企画運営にもたずさわる予定とのこと。
川本町は世界遺産である「石見銀山」の玄関口として栄え、交流のまちとして発展してきた歴史がある。このプロジェクトは“交流のまち”をキーワードに新たな移住を呼び込むものとして動き出した。町内唯一の高校である島根中央高校には、令和元年度に創設した女子硬式野球部がある。全国的にも女子野球が盛り上がりをみせており、同高校の女子野球部にも49人の部員が在籍。しかし、卒業後に野球を続ける受け皿が県内にはない状況なのだ。
そこで女子野球クラブを立ち上げ、これまで活躍の場が限られてきた女子選手の挑戦をサポート。将来的には同高校を卒業した生徒が同クラブチームに戻り活躍することが理想だという。現在、監督やコーチ・チームスタッフを募っている。令和6年度には女子野球タウン認定への申請および選手募集を行い令和7年4月からチームの本格始動を予定しているとのこと。
「女子野球」という町独自のコンテンツを活用し、今後は都市部からの人の流れを循環させる取り組みに発展させていきたいそうだ。