神戸メリケンパークオリエンタルホテル(神戸市中央区)は、1995年の阪神・淡路大震災で被災した旧オリエンタルホテルから受け継いだ、日本で唯一の「ホテルに建つ公式灯台」を、震災29年を迎えた1月17日夕方に一般公開した。
訪れた約230人は、海と山が迫る夕暮れの神戸の風景と、灯台のコントラストをスマートフォンやカメラに収めた。
この灯台は1964(昭和39)年、当時は神戸・旧居留地にあったオリエンタルホテルに、ホテルの敷地内として日本で初めて設置された。
しかし阪神・淡路大震災でホテルが全壊したため移設され、2005年、復興のシンボルとして初めて一般公開された。その後2011年からは、毎年1月17日に公開(このほか11月1日「灯台記念日」にも)していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、1月17日の公開としては2021年のみ中止となった。
海抜約55mに位置する灯台を間近で見ることができ、神戸港と神戸の街へ鎮魂の祈りを捧げている。
兵庫県宝塚市から訪れた40代の女性は「神戸港から眺めていると、29年前の震災から見事に復興した姿がよくわかる。能登半島地震では津波の影響が大きく、海の恐ろしさを知った。それでも、能登でもこのような穏やかな、美しい海を取り戻せる日が必ず来る。そのことを願いたい」と話した。