国内屈指の高級住宅街として知られる兵庫県芦屋市。歴史・文化豊かで、上質なものとの関わりが深い一方、意外な横顔も存在するといいます。そんな芦屋の最新トピックを、芦屋でフリーペーパーや地域情報サイトを手がける『芦屋人(あしやびと)』のスタッフが紹介します。
今回は、芦屋のショコラティエが手がける「ビーントゥバーチョコレート」と、豪華なギフトボックスに注目しました。
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バレンタインデーが近づき、各百貨店でもイベントが始まりました。近年、目にすることが増えてきたのが、「ビーントゥバー」と書かれたチョコレートショップです。なんとなく意味はわかるけど、そもそも「ビーントゥバーチョコレート」って何? そこで、芦屋の業平町にある「Bean to barチョコレート専門店 ICHIJI」(以下 イチジ)のオーナーショコラティエ・伊知地恭兵さんに聞きました。
「ビーントゥバーチョコレート」とは、工場での大量生産に対し、ショコラティエが自らカカオ豆(Bean)を仕入れ、選別・焙煎・摩砕・調合・成形……と、板チョコ(Bar)になるまでの全工程を一貫して担い、作られるチョコレートのことです。2007年にアメリカ・ニューヨークで話題になったのが最初で、現在は関西でもお店が増えつつあります。
ICHIJIのチョコレートは、すべて自社工房で製造されています。まず、カカオ豆を手作業で選別。原産地や個性に合わせて焙煎して粗く砕き、風の力と手作業で実(カカオニブ)と種皮に分別。それを調温により溶けにくく艶のあるチョコレートに仕上げ、型に流し込んで固めます。チョコレートは微妙な配合や焙煎時間などの違い、またその日の天候によっても味や食感が変わってくるため、今でも毎日研究し続けているそう。
チョコレートに使用されるのはカカオ豆と有機キビ砂糖のみ。豆の4つの原産地(ガーナ、タンザニア、トリニダード・トバゴ、ハイチ)と、食感やカカオ量の違いをつけた3つのテイスト(CONCHE・CRUNCHY・BITTER)から選ぶことができます。試食したタンザニア産カカオは、まるでベリーが入ったかのような酸味と甘みを感じます。
板チョコレートは1枚が1,590円からと決して安いものではないのですが、素材から丁寧に作り上げた味わいは本物志向の芦屋の人に愛されています。
バレンタインに大人の男性に贈るなら、セレブ感溢れるギフトボックス『TAMATEBAKO』(玉手箱)。「コンセプトは『チョコレートを大切な人に贈り、そして一緒に味わう』、そんな時間と空間をイメージしました」と伊知地さん。
フランス語で「二人だけの夜」と名付けられたプリザーブドフラワーや、シャンパンの名品「モエ・エ・シャンドン」、「ロミオとジュエリエット」の名のついた葉巻がそれぞれチョコレートとセットに。ICHIJIのチョコレートは阪神間や大阪の百貨店のバレンタイン催事で取り扱われていますが、このギフトボックスを実際に手に取ることができるのは芦屋の本店のみという貴重な一品です。
シャンパンのサイズは二人で飲むのにちょうどいいベビーボトル。チョコレートとシャンパンで、二人だけのゆったりした時間を過ごしてみるのもいいかもしれません。
(取材・文 = 株式会社芦屋人 杉本せつこ)