「スイミー」「ごんぎつね」「スーホの白い馬」…国語の教科書の定番作品 出版社に裏側を聞いてみた | ラジトピ ラジオ関西トピックス

「スイミー」「ごんぎつね」「スーホの白い馬」…国語の教科書の定番作品 出版社に裏側を聞いてみた

LINEで送る

この記事の写真を見る(2枚)

―――内容はどのようにして決める?

【木塚さん】 国が定めた指導要領を守れば、比較的自由に決めることができます。学年や掲載時期、時代背景など、さまざまなことを考慮して選定しています。新学年がはじまりたての春には、クラスみんなが話しやすい雰囲気になるようなワクワクする内容を選んだり、学校生活が落ち着いてくる秋冬には、じっくり考えさせられるような話を入れたりします。『ちいちゃんのかげおくり』や『モチモチの木』は表現や内容にしっかりと向き合いたい物語なので、秋や冬あたりに学ぶように配置しています。

教科書には、宮沢賢治や太宰治など有名な作家の作品を載せることも多いですが、教科書のために書き下ろした作品も数多く存在します。弊社の教科書に掲載されている『くじらぐも』は、ジブリ作品『となりのトトロ』の主題歌「さんぽ」や、『ぐりとぐら』を手がけた中川李枝子さんによる書き下ろし作品です。

くじらぐも(画像提供:光村図書出版)
中川李枝子さんによる書き下ろし作品「くじらぐも」(画像提供:光村図書出版)

―――「教科書クロニクル」が生まれた経緯は?

【木塚さん】 弊社の教科書を使っていた方々から、「あの物語をもう1度読みたい」「タイトルを思い出せないのだけど……」という問い合わせが多く寄せられたことがきっかけです。20年ほど前から歴代教科書と掲載物語の一覧をサイトに記載していましたが、昨年、より探しやすくするために生まれ年を入力するだけで簡単にわかる検索サイト仕様にバージョンアップしました。

―――どのように使われている?

【木塚さん】 お子さんやお孫さんと一緒に見て話題にしていただいたり、同窓会での会話のネタにしていただいたりと、コミュニケーションのきっかけになることも多いかと思います。なかには、「当時の物語をもう一度読みたい」と、サイトを使って調べて実際に書籍を買ってくれる方もいます。先ほども登場した『やまなし』は、「大人になってから読むと印象が大きく変わる」という感想をよくいただく作品です。

―――反響は?

【木塚さん】 皆さん、口をそろえて「懐かしい!」と喜んでくださっているようです。SNSでも「表紙を見ただけで教室や友達、先生を一気に思い出した!」「教科書に書いた落書きまで思い出した」などの声もあり、みなさんノスタルジーに浸ってくれているのだろうと思います。

実はこれまで、社名を「こうそん」「ひかりむら」と誤読されることが多かったのですが、サイトをきっかけに「みつむら」という正しい社名を知ってくれた人が増えたのが、弊社としてはうれしく思っています(笑)。さらに「懐かしい!」と思っていただけるように、今後は、代表的な作品のあらすじやイラストなども掲載していこうと考えていますので楽しみにしてもらえたらと思います。

☆☆☆☆☆

 人々の記憶の片隅にある国語の教科書。取材をしながら、筆者も思わず「懐かしい!」と言ってしまうタイトルが数多く登場しました。皆さんも、友人や同僚と“懐かしの国語の教科書”について話してみてはいかがでしょうか? 盛り上がること間違いなしです。

※ラジオ関西『Clip』2024年1月25日放送回より

(取材・文=藤田慶仁)

LINEで送る

関連記事