江戸時代中期から明治時代にかけて、米、塩、ニシン、木綿、鉄などさまざまなものを売り買いしながら大阪~北海道を日本海回りで往復していた商船「北前船」。同船の寄港地の1つで、瀬戸内海水運の要所だった「兵庫津」(神戸市兵庫区)の一角に「北前船水揚げ地跡標柱」が設置され、このほど記念セレモニーが行われた。
兵庫津は2018年、北前船寄港地として「日本遺産」に認定。標柱の設置は、地元の自治会メンバーなどでつくる「兵庫津日本遺産の会」が地域の活性化と歴史的遺産の保全を目的として神戸市に働きかけ、実現した。
セレモニーには、同会メンバーや地域の住民、行政関係者ら約60人が参加。標柱の覆いが外されると拍手が沸き起こった。
同会副会長の十河美津子さんは「北前船水揚げの地のシンボルができて、たいへんうれしい。散歩コースにしてもらうなど、多くの人に訪れてほしい」と、笑顔であいさつ。古泉泰彦・兵庫区長は「(設置は)皆さんの熱い思いで実現した。兵庫区南部は奈良時代に開港、いろいろな歴史の舞台となったが、その歴史を語るものがなく、さびしい思いをしていた」と振り返った。セレモニーの参加者には、記念品として函館の昆布が配られた。
標柱は、歴史スポット「古代大輪田泊(おおわだのとまり)『石椋(いわくら)』」モニュメントの横に建てられている。神戸市営地下鉄中央市場前駅1番出口から北西へ約100メートル。