皇后杯優勝のINAC神戸 土壇場でのPK同点弾の裏側&ロッカールーム秘話を社長が明かす | ラジトピ ラジオ関西トピックス

皇后杯優勝のINAC神戸 土壇場でのPK同点弾の裏側&ロッカールーム秘話を社長が明かす

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 女子サッカーの日本一を決める皇后杯で、7年ぶり7度目の優勝を達成した、INAC神戸レオネッサ。クラブの安本卓史社長が、このたびラジオ番組で栄冠の裏側を明かしました。

 27日に大阪市東住吉区のヨドコウ桜スタジアムで行われた「皇后杯JFA第45回全日本サッカー選手権大会」決勝で、INAC神戸は三菱重工浦和レッズレディースと対戦。19分にオウンゴールで先手を許すなど、前半は苦戦を強いられながら、後半開始からベテランFW高瀬愛実選手(※「高」=はしごだか)らを投入し反撃に出ると、後半アディショナルタイムにPKを獲得。これを高瀬選手が決めて土壇場で1-1の同点に追い付きます。延長戦を含めた120分間では決着がつかず、PK戦で6-5と制したINAC神戸がカップウイナーの座をつかみました。

皇后杯を制した歓喜にわくINAC神戸の選手たち。カップアップを行うのが、INAC神戸のキャプテン・田中美南選手(中央) ©INAC KOBE LEONESSA

 ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』にゲスト出演した安本社長は、後半タイムアップ直前、90+5分に記録された高瀬選手のPKゴールに至る秘話を披露しました。

 FW田中美南選手のシュートが相手の手に当たってPKとなったとき、実は、最初、PKキッカーの候補となったのは、チームの中でもPKが上手いFW桑原藍選手だったそう。しかし、高卒1年目のルーキーには荷が重かったようで、そこで高瀬選手がキッカーを務めることになったとのことです。チーム一筋15シーズン目のストライカーは冷静にゴール右隅へ決め切りましたが、安本社長によると「高瀬選手に聞いたが、緊張していたので、ボールをすぐにセットしなかったらしい。後で見直したら、ずっとボールを持っている。だから、置いて、すぐに蹴って決めた」。

 高瀬選手は試合後のコメントで、「こういうときくらいちゃんと仕事しないとなと思った。(緊張で)けっこうバクバクだったし、リーグ戦で今シーズンはPKを一度蹴っていたので、その情報は入っているだろうなと思いながら(PKに臨んだ)。(決めたときは)ホッとしすぎて、みんなの表情を見る余裕は正直なかった」と、当時の様子を明かしています。

 ラジオのオンエアでは、勝利の立役者の1人、PK戦でも活躍したGK山下杏也加選手のコメントも紹介され、そのなかで、なでしこジャパンの守護神は「タナっさん(田中美南)が熱く最後のロッカーの円陣で言ってくれたのが、みんなが熱くなった瞬間。あれがチームで1つになったメッセージかなと思った」と、キャプテン・田中選手の檄が力になったと述べました。

 これについて、そのときのミーティングに参加していたという安本社長は、「(田中選手が)『私は皇后杯を勝ちたい。とてもいいチームに感じるが、いいチームだけで終わりたくない。勝っていいチームと言われたい。全員でこころを一つにしてがんばろう』と話していた」と、当時の田中選手のコメント内容を代弁していました。

 2018年10月からINAC神戸の社長に就任した安本社長にとっては、3度目の挑戦にして、初の皇后杯制覇に。昨年、同じヨドコウ桜スタジアムで日テレ・東京ヴェルディベレーザに0-4と大敗し、悔しい準優勝となった経験を踏まえて、今回は「僕らもスタッフも金髪に染めて」決戦に臨んだそう。しかし、「(リードされているときは)あれが悪かったのかなとか、85分くらいに『いらんことしたからやな』とか思い始めていた」と、いろんな思いも巡っていたようです。

「でも、金メダルを持ち帰りたいと選手たちが思っていて、僕にとっても3回目の皇后杯決勝のチャレンジ、本当に最後、あきらめず戦ったからああなった。スタッフ、選手、コーチ、フロント、垣根なく(やってきたのが)、たぶん雰囲気として出ていたと思う。そこがよかったのかな」と、安本社長はクラブ一体となってつかんだ優勝に感慨ひとしおの様子。優勝決定時には涙を流す様子も見られたことについては、「選手、スタッフ、全部出てきたから。社長になっていやなことも言われたこともあるし……でもよかったです」と、これまでの幾多の苦労が報われた思いも実感しているようでした。

 安本社長は番組の最後に、親交のある浦和L・楠瀬直木監督と試合後にかわした言葉も紹介。「『正直90分ゲームでは負けていたが、この大会のレギュレーション上、試合で勝たせてくれてありがとう』という話をしたら、『いや、次は負けないよ。いつまでも2強でいよう』というメッセージをいただいた」。互いに今後のINAC神戸と浦和Lの好敵手関係の継続を願っていました。

 なお、INAC神戸は、2月3日(土)に神戸市東灘区の本住吉神社で行われる節分祭に参加。その前日の2月2日(金)夕方には「2023-24 WEリーグ」後半戦の日程も発表され、1か月後の3月2日(土)からシーズン二冠への戦いに挑みます。安本社長は「今週金曜に後半戦の日程が出るが、その初戦を楽しみにしてほしい。この意味が分かる方は素晴らしい(笑)」とにこやかに述べていました。

※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2024年1月29日放送回より

ラジオ生放送に出演したINAC神戸の安本卓史社長(写真左から2人目)(写真:ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』)
INAC神戸の安本卓史社長(左から2人目)と、ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』パーソナリティー陣。元なでしこジャパンの川上直子氏(左)と、宮川陽香(左から3人目)、寺田光(右)(写真:ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』)
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カンピオーネ!レオネッサ!! | ラジオ関西 | 2024/01/29/月 18:30-19:00

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