2024年に100周年を迎える阪神甲子園球場(以下、甲子園)。その記念事業として制作された「甲子園100周年記念漫画コラボムービー」に、地元兵庫県の尼崎市立尼崎高校吹奏楽部が参加しています。
甲子園にゆかりのある名作野球マンガ9作品の名シーンを集めて制作されたのが同コラボムービー。その第四弾「出場」篇で流れるテーマ曲『KOSHIEN FOREVER』の演奏とコーラスを、市立尼崎高校吹奏楽部が担当しています。
前田栞里さん(3年・前部長)は、「自分たちが演奏とコーラスを担当した映像が、昨年夏の高校野球でバックスクリーンで放映されました。それに合わせて部員全員でアルプススタンドで歌った、あの雰囲気が今でも忘れられません」と、思い出深いできごとの一つだと語ってくれました。
同吹奏楽部は1958年に創部、現在の部員数は120名 (内3年生37人は昨年11月に引退)。昨年度は、吹奏楽連盟主催の吹奏楽コンクールやマーチングコンテスト、アンサンブルコンテストにおいて、全て地区大会、県大会、関西大会に出場しました。休みは週1回程度で、ほぼ毎日練習という熱心さですが、矢野未羚さん(3年・前副部長)は「大好きな仲間と一緒にひとつの曲を完成させることが楽しい。仲間と頑張った成果が、結果としてあらわれた時は涙が出るほど嬉しい」と話します。
「甲子園100周年記念漫画コラボムービー」の他にも、同吹奏楽部は高校野球と深い関わりがあります。甲子園で行われる「高校野球選手権大会」に出場する沖縄県代表校の友情応援の演奏を、40年以上にわたって担当。吹奏楽部顧問の岩山悦志先生によると、同吹奏楽部の総監督が沖縄県出身であり、尼崎市には沖縄出身の方々が多く生活している縁もあってサポートの依頼があったのだそうです。代表校の応援では、選手のリクエストに可能な限りこたえ、沖縄出身者や野球ファンの方々と一体となって応援できるよう心がけているといいます。
矢野さんは「(昨年)沖縄尚学さんの応援に行かせていただき、甲子園のアルプススタンドで演奏をしたことが良い思い出です」と振り返ります。また、前田さんも「甲子園球場など普段は(演奏で)行く機会がなかなかない場所で、仲間と貴重な経験ができたことがとても嬉しいです」と話します。
さらに、夏の甲子園「高校野球選手権大会」の開会式・閉会式での大会歌や入場行進曲の演奏にも、同吹奏楽部のメンバーが多数参加。甲子園での演奏は、大阪府と兵庫県の吹奏楽連盟が隔年で担当をしていて、兵庫は市立尼崎高校吹奏楽部が中心となってメンバーを調整しています。特にファンファーレは同校のみの編成となっていて、2024年も担当する予定です。
前田さんは「コロナウイルスの影響も落ち着き、どんどん本番が増えてきています。後輩のみんなには一つひとつの本番に、真剣かつ最高に楽しんでぶつかっていってほしいです」とエールを送っていました。
(取材・文=市岡千枝)