その一方で、犯罪被害者等基本法の成立(2004年)や殺人事件などの時効撤廃(2010年)に向けての活動に力を注いできた寺田さん。現在は主に関西の犯罪被害者でつくる「つなぐ会」の代表幹事を務めるが、2018年に18年間の歴史に終止符を打った全国犯罪被害者の会(あすの会)での活動にも精力的に関わってきた。
■「伝わっているか、遺族の声」~心情聴取・伝達制度
2023年12月、犯罪被害者や遺族が、刑務所などに収容されている加害者本人に、刑務官らを通じて心情を伝える「心情聴取・伝達制度」が始まった。 被害者側が希望すれば、心情を伝えられた加害者の様子や発言を知ることができる。これまでは、 刑務所を仮釈放となったり、少年院を仮退院したりして、保護観察となった者を対象に導入していたが、今回は範囲を広げた。
寺田さんはこれに先立つ同年11月、 関東の犯罪被害者遺族とともに、 制度の適切な運用を求める要望書を法務省 に提出した。 その上で、「被害者を取り巻く環境は整ってきたが、法務省の“縦割り”の弊害も見えてきた。検察庁、矯正局、保護局が連携できているのか、という思いがある。 まだ世間で十分認知されていない。被害者遺族の声が届いているのか、被害者の目を入れて運用状況を検証するべき。今後も訴え続けなければ」と話す。
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事件発生から今年(2024年)1月末までに寄せられた情報は189件、このうち直近の1年では6件にとどまる。
■情報提供は兵庫県警・須磨警察署捜査本部、電話078-731-0110へ。