サンドラはヴァンサンに自分が昼寝をしていた間に起きたことで、関わっていないと説明し、ヴァンサンは「夫サミュエルは窓から落ちて物置の屋根に頭部をぶつけた」と主張することにします。また窓枠の位置の高さから、サミュエルの死因は転落事故ではなく自殺だと結論づけました。これに対しサンドラは「息子の目の前で自殺するはずがない」と考えて反論しますが、半年ほど前に夫が薬を飲んで体調を崩したことを思い出します。
警察はダニエルにも事情聴取を重ね、科学的な現場検証を繰り返し、サンドラは起訴されます。
サンドラが殺したという明確な証拠はありませんでしたが、ベストセラー作家が殺人の罪に問われた裁判にメディアが注目し、法廷の前にはカメラマンが数多く集まります。
互いを尊重する対等な関係を築いて理想的な夫婦だったサンドラとサミュエルですが、裁判が進むと、法廷に立つ証人や検事から次々と夫婦の秘密や嘘が暴露されました。裁判を傍聴する息子のダニエルは混乱します。
さらに夫婦が口論し殴り合うような様子が録音されていたことが分かり、証拠として法廷に流されます.....。
フランスの映画です。公開5週目で観客動員100万人を超える大ヒットを記録しました。
主人公のサンドラ役をドイツ生まれのザンドラ・ヒュラーが演じました。人気作家の知的な表情と冷酷さや感情を爆発させる演技を披露し、今年度の国際映画祭で主演女優賞の候補として何度も名前が挙がっています。監督は、今作が長編4作目となるジュスティーヌ・トリエ。共同で脚本も手がけています。トリエ監督は撮影を始めてすぐにザンドラの演技に圧倒されたそうです。「彼女には内側からにじみ出る現実味があって、それがセリフの一つひとつにあふれていた」と称えています。さらに、ザンドラが脚本に疑問を投げかけ、何シーンか書き直すようにアドバイスを受けたことがあった、と明かしています。「彼女には手に取るように感じられる存在感があり、彼女の役に対する解釈は本作に忘れ難い印象を残してくれた。撮影が終了する前に確信したの。彼女が自分の一部をこの作品に捧げてくれたから、唯一無二の演技を撮ることができたのだとね」(トリエ監督)