コンビニ・スーパーなどで弁当や寿司を買うと、パックに入っていることが多い「魚型のしょうゆ入れ」。何気なく使っていましたが、そもそも名前は何なのか、なぜ魚型なのか、どういう経緯で誕生したのか……にわかに気になった筆者。調べてみると、開発したのは『旭創業』(大阪市住吉区)という事が判明。詳しく話を聞きいてみました。
1954年、創業者である渡辺輝夫氏のある“ひらめき”が開発のきっかけとなりました。当時の弁当用調味料入れはガラスや陶器が主流だったのですが、渡辺氏は「使い捨てなのにガラスや陶器は高価であり、捨てる時も危険である」そして「これからは経済的なポリエチレンの時代になる」と発想し、研究や試行錯誤を重ねポリエチレン製の小型調味料容器がついに誕生しました。そして「ランチ(昼食)をチャーミングに」というキャッチフレーズから「ランチャーム」と命名されたのです。
完成したランチャームを見て「これは売れる」と確信を得た渡辺氏。販路を拡大させるために本社を広島県福山市から大阪市西成区へ移すことを決断。ランチャーム発注の一番乗りは百貨店でした。それを引き金にするように日本各地から注文が殺到、瞬く間に全国規模へと展開していったようです。
開発当時は魚型ではなかったそうですが、後に寿司屋の持ち帰りに添えられることを目的とした魚型のランチャームを作りました。「寿司といえば魚」ということから魚型のアイデアが生まれ、「高級魚」「魚の王様」「丸みを帯びた愛らしい形状」「めでたい」など様々な理由から、型となる魚は鯛が選ばれたとのことでした。
“赤い蓋で本体は半透明”というランチャームはよく見かけると思いますが、実はほかにもカラーや種類が存在します。容器の形状・容量・調味料の種類などの違いで豊富なラインナップがあるそうです。例えばお祝いや高級料理の際には「金色のランチャーム」、とんかつ用のソース入れとして「ブタのランチャーム」など用途に合わせて選べます。
気がかりなのは「ランチャームの未来」について。昨今の“脱プラスチック”の流れの中で今後どうなっていくのでしょうか?
その問いについて、「エコなランチャームが誕生する可能性がある」と同社は回答。目下、調査・研究を継続中とのことでした。