お堂を夜空に、そしてろうそくの灯りを輝く星に見立て、世界平和や国家安穏を祈願する「星供(ほしく)」が28日、京都・三千院門跡(京都市左京区大原)で行われた。
三千院は、比叡山延暦寺を頂点とする天台宗寺院で格式高い「京都五ケ室門跡(※)」の1つ。
「星供」は星まつりとも呼ばれ、人が持って生まれた運命の星を供養することによって、一年間の除災厄除と開運を祈る密教特有の法要。
密教の世界では、生まれた年の干支によって定まる星を「本命星(ほんめいしょう)」と呼び、北斗七星を構成する7つの星を指す。 また毎年変わる「当年星(とうねんしょう)」と呼ばれる9つの星もあり、それぞれ吉凶があるとされる。良い星の年はより良く、悪い星の年は災いが少なくなるよう祈祷する。
三千院の小堀光實(こぼり・こうじつ)門主は、「私たちが何気なく使う、何月・何日・何曜日というものは、密教で十二宮(※じゅうにきゅう)・九曜(※くよう)という星を神に見立てている。それぞれがその星に導かれて生きている。星供はその星に安寧を祈るもの」と説き、
能登半島地震、ウクライナ軍事侵攻の犠牲者を弔い、新型コロナウイルスの完全収束のために祈りを捧げた。
たびたび三千院を訪れるが、星供は初めてだったという神戸市東灘区の60代の女性は「石川県七尾市の老舗旅館に勤める友人から、『再開のめどが立たない』と聞き、心を痛めている。29年前、私が住む神戸も阪神・淡路大震災から立ち直ったが、そこに至るまでの道のりは長かった。被災地・能登に心からエールを送り、早期復興を祈った」と話した。
※京都五ケ室門跡~三千院門跡・妙法院門跡(三十三間堂)・青蓮院門跡・曼殊院門跡・毘沙門堂門跡
門跡寺院とは門主(住職)が皇室、あるいは摂関家によって受け継がれてきた寺院。