高さ300メートル・60階建ての超高層ビル「あべのハルカス」が7日、開業10周年を迎えた。
2014年3月7日に開業、当時は日本一(※)の高さを誇り、この10年間の累計で、3億7336万人が訪れた(2024年3月6日営業終了時点)。
「あべのハルカス」は大阪の「キタ」「ミナミ」に次ぐ第3の顔として、近畿日本鉄道が約1300億円を投資して建設された。ハルカスという名称は、「心を晴れ晴れとさせる」という意味の古語「晴るかす」に由来する。
大阪の南の玄関口として建設された近鉄・大阪阿部野橋駅の巨大ターミナルビル(地下5階、地上60階)。近鉄百貨店阿倍野本店の老朽化に伴う建て替えのため、都市型の高層ビルとする計画が浮上したのが2006年10月。
私鉄として日本最長の路線網を誇る近鉄(近畿日本鉄道、2015年から近鉄グループホールディングス)にとって、「志摩スペイン村」「パルケ・エスパーニャ」に代表される沿線観光スポットの整備や、名阪特急「アーバンライナー」など営業車両の充実は順調に進んでいた。それだけに、本社機能がある大阪のターミナル駅をより集客力とにぎわいのある拠点にする必要があった。
あべのハルカスには、近鉄百貨店本店、展望台、オフィス、大阪マリオット都ホテル、あべのハルカス美術館が入る。
その後、大阪・新世界のシンボル「通天閣」や「天王寺動物園」の南西に整備した天王寺公園エリアの「てんしば」などと合わせ、あべの・天王寺エリアの回遊性を高め、エリア全体の活性化を図った。
2014年の開業直前、近鉄の関係者はラジオ関西の取材に対し、「阿倍野再開発プロジェクトが起動した2006年当時、想定していたビルの高さは横浜ランドマークタワーの296メートルに及ばなかった」と話していた。
当時の想定では、高さ西日本一とされたWTC(現在の大阪府咲洲庁舎・大阪市住之江区、高さ256メートル)を抜く270メートル程度だったという。それは当時の航空法による建物の高さ制限の上限が290メートルだったからだ。
しかし、2007年に国内航空の規制が緩和され、阿倍野一帯の建物の高さ制限が撤廃された。これで切りの良い、高さ300メートルの「日本一の高層ビル」へ計画を変更、前面にアピールすることができた。