かつて玉手山遊園があった『道明寺』からは、近鉄で最も古い歴史をもつ道明寺線が『柏原』までの2.2キロメートルを結んでいます。
『古市』は羽曳野市の中心駅。南大阪線の中間拠点であり、乗務員の交代もこの駅で行われます。そしてこの駅では朝夕を中心に実施される車両の増解結風景が有名なんです。この駅を境に乗降客数に大きな差が生じるため、2両が4両や6両になるなどのシーンをホームで見ることができます。駅員の誘導のもと、わずか20秒ほどで素早く増解結作業が行われていきます。
ここで河内長野行・準急とお別れして、橿原神宮前行の区間急行に乗り換えます。『駒ヶ谷』あたりからは景色が変わり、あちこちにブドウ園が目に入り始めます。奈良県に入り標高517メートルの二上山は、雄岳と雌岳が美しい姿を見せてくれます。
このあと特急停車駅で御所線を分岐する『尺土』や『高田市』を経て、終点『橿原神宮前』には『大阪阿部野橋』から約40分で到着。吉野・西大寺・京都方面はお乗り換えです。名建築家・村野東吾の設計による歴史と風格をもつコンコースが出迎えてくれ、この駅では標準軌の橿原線から京都に向かう特急や、桜の季節は大人気の狭軌の吉野線の特急・青の交響曲(シンフォニー)にも出会うことができます。
そして駅から10分ほど歩いたところ、畝傍山のふもとに初代・神武天皇が祀られる橿原神宮が鎮座します。高さ10メートルの木造鳥居から300メートル続く参道を歩くと、外拝殿の横の畳14畳分の大きな絵馬が目に飛び込んできます。境内はまさに日本の歴史・文化の発祥地という神々しさに包まれていました。