2011年3月11日の東日本大震災によって起きた東京電力福島第1原子力発電所の事故で、兵庫県内に避難した福島県の被災者30世帯78人が国と東電に計約6億9900万円の損害賠償を求めた集団訴訟で、神戸地裁は21日の判決で、東京電力のみに賠償を命じ、国への請求は退けた。
全国で提訴された約30件の訴訟のうち、 2022年6月に福島訴訟(生業訴訟)、群馬訴訟、千葉訴訟、愛媛訴訟の4件について国の責任を認めないとした最高裁判決と同様の判断となった。
訴訟の争点は、▼国が津波の到来を予測し、対策を取っていれば事故を回避することができたかどうか ▼放射性物質による内部被ばくの危険性、▼国の原子力損害賠償紛争審査会が定めた支払い基準を超える賠償を認めるかだった。
判決で神戸地裁は東京電力に対し、「住民らは放射線被ばくを免れるために、避難したのはやむを得なかった」として、原発事故と避難との因果関係を認め、原告のうち22世帯50人に計約2420万円を支払うよう命じた。