「ああ〜、トイレがしたい〜」と探し回ったある日、ようやく見つけたのはとある雑居ビル。いざ入ろうと思ったら扉にボタンが並んでいるんです。レバーハンドルを回そうとしても、ロックがかかってて開かへん……。そう、暗証番号(パスワード)を入力しないと開けられへんトイレやったんです。
「なんでやあ〜」と焦りつつも諦めて、別の場所に探しに行きました。
なんとか別のトイレを見つけて間に合ったんですけど、先ほどのトイレがどうにも気になる……。初めて遭遇した焦りと驚きが忘れられず、ビルの管理会社の担当者に話を聞いてみたところ、「慌てさせてごめんなさい。いまはビルの関係者のみの使用とさせていただいているんです」と、申し訳なさそうに答えてくれました。
聞いたところによると、以前は誰でも普通に入れたのだそう。ただ、繁華街に位置するビルなため、いろいろな人が使いにくるんですって。普通に使ってもらうんだったらいいんですが、なかにはマナーの悪い人もいて、便器や周りを汚すわ、器具をこわしたりトイレットペーパーを盗んだり。タバコを吸って長居する人なんかもいて、ビルに入っている会社の人がいざ使おうと思っても使えないこともあって苦情が入ったのだそう。
さらに、担当者さんは「あっ、そうそう!」と思い出したように話してくれました。繁華街には飲み屋さんも結構あって、そこで飲んではった人がビルのトイレで眠りこんでしまいずっと居座ってたなんてこともあったそう。
それから、「利用者の皆さんから『なぜ?』と言われていることなんですけど……」と飛び出したこぼれ話が……。