なお、N相模原戦直前、ロッカールームで、INAC神戸の安本卓史社長から、けがで戦線離脱中だった元なでしこジャパンFW増矢理花選手の現役引退に関する話が報告されたことも、ラジオ番組内で明かされていました。安本社長によると、「(22日の引退発表を目前にした)一昨日(20日)、本人から相談があった。『チームに貢献できていないので、なんとかしたい。自分の引退が少しでも力になれば』ということで、昨日(21日)の試合前にロッカーで私から伝えた」とのこと。「涙を流す選手もいて、昨日は増矢理花に捧げる勝利となったことは間違いない」(安本社長)というように、チームを長年にわたって支えてきたレジェンドの大きな決断も、選手の発奮材料になったようです。
川上氏は増矢選手の現役引退について、「ちょっと言葉に詰まるし、悲しい……。まだ28歳。けがというのが、本人のなかで一番大きいと思いますが、またもしやりたくなれば(復活してほしい)という思いもある」と、INAC神戸の背番号8をおもんぱかるとともに、「でも、ここからの人生のほうが長いので、また次、どんなことにチャレンジするのかというのも楽しみにしている」と語っていました。
4月の前半3試合は、なでしこジャパンのアメリカ遠征直後に行われ、なでしこ4選手のコンディション調整の難しさも結果に表れてしまったINAC神戸。ただし、S広島R戦後に番組の取材に応じたFW田中美南選手は、「全員コンディションについて、整えて臨んでいるが、それぞれもしかしたら痛いところがあるかもしれないし、コンディション(調整)は難しいかもしれない。メンタル的な部分も、ずっと張りつめた状態でやっているので、疲れも出るかとは思うが、チームの試合は大事なので、そこはみんな割り切ってプロとして臨んでいる」と、言い訳をせず。
先頭に立って前を向くキャプテンの勇姿もあり、チームはN相模原戦での勝利でポジティブさを取り戻しつつあります。N相模原戦後には「1個こぼしてしまったぶん、(優勝は)厳しくなったが、ここから勝ちグセをつけられるように、どんどん勝って、優勝に近づきたい」(守屋選手)、「優勝を目指すうえで、もう負けられないので、次はホームで勝って、首位の浦和についていけるようにやっていきたい」(成宮選手)と、選手たちも逆転優勝への思いを新たにしていました。
「INACが優勝するためにはもう全部勝たないといけない」と川上氏。ルーキー台頭、増矢選手の現役引退を花道で飾るという思い、そして、なでしこ勢のコンディション改善。その3つをポイントに、一戦必勝がノルマとなるなか、INAC神戸は次節、28日(日)にホームのノエビアスタジアム神戸で10位のマイナビ仙台レディースと対戦します。この日は、チームの大黒柱・田中選手のバースデー。6試合ゴールから遠ざかっている背番号9に得点が生まれてこそ、INAC神戸の怒涛の追い上げが始まるというもの。今こそエースの活躍に期待せずにはいられません。
(※ラジオ関西『カンピオーネ!レオネッサ!!』2024年4月22日放送回より)