「フェイスブック」や「インスタグラム」 で前澤友作さんら著名人になりすました詐欺広告が増えている問題で、被害者4人が25日、フェイスブックなどを運営するアメリカIT大手「Meta(メタ・旧フェイスブック)」の日本法人に計約2300万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴した。
弁護団によると、虚偽広告を掲載したSNS事業者に対する集団訴訟は全国で初めてとみられる。
訴えを起こしたのは、神戸、東京、横浜などに住む40~60代の男女4人。
訴状などによると、4人は2023年8~10月ごろ、フェイスブックやインスタグラムで、衣料品販売大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前澤友作氏や、インターネット掲示板「2ちゃんねる」開設者の西村博之氏らになりすました投資広告を閲覧した。その広告をクリックすると、LINE(ライン)上でアシスタントを名乗る個人アカウントにつながり、投資グループに誘導され、外国為替証拠金取引(FX)の投資資金として指定された口座に現金を振り込んだとされる。
4人の被害総額は3200万円を超えているという。
そのうえで、広告の掲載主体であるメタ社は、虚偽の広告をSNSに掲載することで利用者に損害を及ぼす恐れを予見し、内容の真実性を調査する義務があった。2023年初めごろから著名人の名前や写真を使った虚偽広告による投資詐欺が横行していたにもかかわらず、広告内容が真実かどうかを確認せずに掲載し、広告料収入を得たと主張している。
警察庁によると、2023年のSNSを通じた投資詐欺の被害額は約278億円に上るという。
原告4人はすでに刑事告訴している。弁護団によると、被害は2023年10~12月に集中し、これから投資を学びたい人が、前澤氏ら著名人をかたった虚偽広告の触れ込みを信じてしまったと分析している。弁護団への相談は、このほかにも全国各地から十数人にのぼるという。2次提訴も視野に入れている。
この問題をめぐっては、4月10日、フェイスブックやインスタグラムで写真や名前を無断利用されたとして、前澤氏や実業家の堀江貴文氏が、自民党本部で開かれた会合で被害の実態を訴えた。前澤氏らは、メタ社に詐欺広告の削除を求めたが「削除されないままにされている」と訴え、議員らに対し、SNS事業者への法的規制を急ぐよう求めた。
一連の問題を受け、メタ社は同月16日、「オンライン詐欺は、インターネットを通じて世界中の人々を標的とする社会全体の脅威。詐欺広告をプラットフォーム上からなくすことは、Meta(メタ)のビジネスにとって必要不可欠なこと」とする一方、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う。オンライン上の詐欺が今後も存在し続けるなかで、詐欺対策の進展には、産業界そして専門家や関連機関との連携による、社会全体でのアプローチが重要だと考える」との声明を出している。