テイクアウトのホットコーヒー フタの飲み口なぜ小さい? 「思わぬキッカケ」で進化した構造とは? | ラジトピ ラジオ関西トピックス

テイクアウトのホットコーヒー フタの飲み口なぜ小さい? 「思わぬキッカケ」で進化した構造とは?

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 コーヒーショップなどでホットコーヒーをテイクアウトした時に付いてくる「フタ」。飲み口が小さく、飲むときに火傷しないかヒヤヒヤする人も多いのではないでしょうか。「なぜ飲み口が小さいのか」「フタを使う理由」について、木村容器株式会社に話を聞きました。

テイクアウトコーヒーのフタについて調査

 同社によると、正式名称は「トラベラーズ・リッド」と言うそう。リッドとはフタのことで、つまり“持ち歩くためのフタ”を意味しています。今から40~50年前に、熱い飲み物を持ち帰るときに内容物がこぼれて火傷するのを防ぐために開発されました。

 今では飲み口を開閉できるタイプのリッドなど様々な形に進化していますが、熱々のコーヒーを飲む一口目や最後まで飲み切りにくかったりと少し不便さを感じる事もあります。そもそもリッドはなぜ必要なのでしょうか? 理由は主に3つあります。

飲み口を小さいワケや、フタをする理由とは?

【理由1】熱い飲み物がこぼれないようにするため

 アメリカではある事をきっかけに、安全なリッドの開発が進みました。それは、1990年代に起こった「ホットコーヒー訴訟」です。ホットコーヒーをテイクアウトし、砂糖とミルクを入れようとコーヒーのフタを取ろうとした所、うまく開ける事ができず熱々のコーヒーがこぼれてしまい、大やけどした人が起こした裁判です。裁判を起こした結果、勝訴。最終的に約3億円の和解金によって解決しました。この裁判をきっかけに「よりフタがはずれにくく、外しやすいリッド」の開発が進みました。例えば大抵のリッドはドーム型に高くなっていることが分かります。これはラテなどのクリームがつぶれないようにするためであると共に、実は段差になっている部分との境目に凹みを付ける事で以前よりリッドがはずしやすくなっているそうです。ちなみに、火傷しないようにするためには「フタを開けて少し冷ましてから、もう一度フタをつけて飲む」と良いとのこと。

【理由2】冷めにくくするため

 空気に触れる面が大きくなるほど冷めやすくなってしまうので、フタをすることで保温する事ができます。

【理由3】よりおいしく飲むため

 熱い飲み物を飲むときに少し不便さを感じる小さな口は、おいしく飲むための工夫が施されているのだそう。とくにラテやカプチーノなど、エスプレッソの上にフォームミルクがのっているドリンクの時に特に発揮されます。リッドの飲み口からこれらの飲み物を飲むと、フォームミルクとエスプレッソがちょうどいいバランスで出てくるのだそうです。

安全とおいしさを追求した結果が、このフタだった

☆☆☆☆

「思わぬこと」がきっかけで、アイテムの開発が進む事が分かりました。身の回りをよく見てみると、こういったものが他にもあるかもしれませんね。

「訴訟」がきっかけで進化した、テイクアウトコーヒーのフタ

※ラジオ関西『Clip』2024年4月30日放送回より

(取材・文=濱田象太朗)

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