高層化したJR三ノ宮新駅ビル、同駅前の広い歩行者エリア、走り抜けていく次世代型路面電車システム(LRT)。神戸の玄関口・三宮の近未来を描いたショートムービー「KOBE203X」がYouTubeで公開され、話題となっている。再開発が進む三宮の2030年代の姿を市民に具体的にイメージしてもらおうと、神戸市が制作。米国ハリウッドでも使われている最新の映像技術によって、再開発完了後の三宮が“実写レベル”で表現されている。
「KOBE203X」は約4分30秒。ギターケースを背負った18歳の主人公が雨の降る三宮を歩いていると、突然風に誘われて未来へ飛ばされる。10年後の三宮で、JR三ノ宮駅前に設置が予定されている歩行者エリアに降り立った主人公は、高齢者や親子連れ、外国人観光客、路上演奏を楽しむ人々らに遭遇する。神戸市出身の映像監督、宇城秀紀さんが手掛け、主人公役は同市出身の俳優、森ふた葉さんが務めた。
映像はソニーPCLの「清澄白河BASE」(東京都江東区)内にあるスタジオで制作。高さ5.5メートル、横幅27.4メートルの巨大なLEDディスプレーに3DCGで作った未来の三宮を背景として映し出し、ディスプレーの前で演技する人物を同時に撮影することで、実在するようなリアルな街の映像を作り上げた。また、主人公が空を舞うシーンでは、一般的なCGでは表しにくい、髪の毛が風に揺れるような不規則な動きを再現するため、複数のカメラで被写体を多角的に撮り、3次元データ化する技術「ボリュメトリックキャプチャ」を活用。解像度の高い4K映像で仕上げた。
同作はYouTubeのほか、市役所1号館1階や展望ロビーなどで公開。また15秒のショートバージョンを市内のJRや市営地下鉄、阪急、阪神、山陽電鉄などの主要駅、郵便局や商業施設などで紹介している。
YouTubeのコメント欄には、映像を見た市民から「この神戸を早く見たい」「ほかのプロジェクトもこのようなプロモーション動画にしてほしい」などの感想が寄せられている。神戸市広報戦略部課長(広報コンテンツ担当)の本多倫子さんは「多くの人に動画を見てもらい、一足早く未来の神戸・三宮を体験してほしい」と話している。