学校や病院などの“天井の模様”、白色を基調としたパネルで穴が空いたようなデザインをよく見かけませんか?
これは「トラバーチン模様」と呼ばれ、たびたびSNS等で話題になっています。模様の由来やメリットなどについて内装工事を行う『株式会社リバネス』に話を聞きました。
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【トラバーチンとは】
温泉・鉱泉・地下水などに沈殿した石灰質の岩石のこと。「緻密」「多孔質」「縞状」などさまざまな構造を持つことが特徴です。一般的に石灰岩の縞状の模様の事を指し、天井などに使われることが多いデザインのひとつ。
【トラバーチンという名称の由来】
イタリアのローマから約30キロメートル離れたチボリという都市のラテン語名から来ているとされています。古代ローマ時代から温泉保養地として法王や貴族の別荘が建ち栄えた地で、産出される“平行な縞状の細孔を持つ白い石”にちなんでトラバーチンと名付けられました。チボリ産の石材は「トラベルティーノ・ロマーノ」と呼ばれ、ヨーロッパの様々な建造物に使用されています。
【トラバーチン柄天井は何が使われているの?】
日本でよく見られる代表的なものは、吉野石膏株式会社が製造・販売している「ジプトーン」。ジプトーンは通常の天井工事に比べて施工費用が安く工期も短縮できるうえ、機能性が高くコストパフォーマンスがよい事から住宅や病院・オフィスなど多くの施設で取り入れられています。
【トラバーチン模様の天井が使われる理由】
▼安価であるため。前出の「ジプトーン」は1平方メートルあたり約1600円程度の費用で施工する事ができるといわれています。
▼吸音効果が高い。無数の小さな穴があるため表面積が広くなり、音を吸収しやすくなるのだそう。
▼黒い点や縞状のデザインのため、天井を打ち付けたビスが目立ちにくい。
▼耐火性や断熱性が高い。
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普段何気なく見ていた天井の柄にも様々な意味や理由がありました。この他にも、普段の生活で見かける「いつものアレ」について調べてみると面白いかもしれません。
※ラジオ関西『Clip』2024年5月14日放送回より
(取材・文=濱田象太朗)