韓国でシンガーソングライター、アイドル、モデルとして活躍した経験を持つ女性が、この春から、兵庫県加古川市の兵庫大学で教鞭をとり、韓国のエンターテインメントビジネスなどを学生に伝えています。
4月から兵庫大学現代ビジネス学部現代ビジネス学科で准教授を務めている、申于珍(シン・ウジン)さん。アーティスト時代の名前「lala」をとって「ララ先生」と呼ばれています。
小学生時代に5年ほど、大阪・堺にいたこともあり、「今もいざとなれば関西弁が出てしまう(笑)」と、日本語も堪能なララ先生。2000年代、20代の頃には「韓国で歌手活動をして、曲を書いたり、歌ったり、舞台で公演することがメイン」。人気歌手のユン・ドヒョンさんとのデュエットで、韓国の作曲家イ・ヨンフンさんの名曲をリメイクした楽曲をリリースした経験も持ちます。
30代になると公演の企画などエンターテインメントビジネスに関わるようになり、それをきっかけに、その分野の勉学にもまい進。修士・博士号を取得し、韓国でも大学で講師として活動後、このたび兵庫大学からのオファーを受けて、再び日本、関西の地にやってきました。
兵庫大学現代ビジネス学部現代ビジネス学科の石川夕起子教授によると、コロナ禍のオンライン授業のときに学生たちに興味あることをアンケートしたところ、「女子のほとんどがK-POPと言っていました」とのこと。実践などを通した教育を進める同大学では、エンターテインメントが今後重要ととらえ、韓国のエンタメビジネスなどに精通したララ先生に白羽の矢を立てたといいます。
「韓流ビジネスやK-POPビジネスなどの企画を韓国でやっていました」というララ先生。授業では、韓国や日本、国際的なエンターテインメントのビジネスの事例をあげつつ、動画を活用しながら、それらを地域ビジネスにも落とし込めるような企画などを講座のなかで展開。兵庫大学で教壇に立ち、すでに1か月以上が経過していますが、「兵庫大学の学生はみんな純粋で、すごくいい子。授業はやりやすい。留学生もいっぱいいるので、彼らにも、日本だけではなく、世界的な音楽ビジネスの話は、すごく面白いと思います」と、学生の関心も高いよう。
「国際的なビジネス関係のエンターテインメントビジネスということで、理論だけではなく、事例がいっぱいあり、その事例を1つずつあげながら、音楽、映画、ドラマの各ジャンルを見せつつ、こういった形で成功したというのを経営学的に分析したり、(学生の)みんなにお願いして分析することなどをやっています」と、BTSの成功事例などを示しながら授業を進めていると明かします。
そのララ先生が最前線で活躍していた2000年代と、今とでは、K-POPの状況も大きく変わっていると話します。
「2000年の頭くらいは海外進出が難しくて、国内での競争が激しい時期。韓流という言葉がまだ出ていなくて、当時はドラマが流行していました。そこから今では、YouTubeやSNSなどオンラインでの交流が盛んであり、アーティストは国際的な活動がメイン。企画するときからターゲッティングが世界に向いています。日本向き、東南アジア向きなど、グループによって違ってくると思いますが、たとえばTWICEは3人が日本人で、企画するときから日本進出を考えていた。そのように、最初から企画者の皆さんがちゃんと考えながら戦略をとってアイドルを作っています。そこがすごく今は違っているし、面白いことかなと思います」(ララ先生)
「エンターテインメントコンテンツはすごく文化交流に役に立つビジネス」というララ先生。大学だけでなく、系列の高校でも「歌で覚える楽しい語学」をテーマに授業を進める予定で、そこでは「今ハマっている」というジャズと、関心の高いK-POPのなかから女性アイドルグループNewJeansのヒット曲を取り上げるなど、「楽しくコンテンツを利用して語学を勉強できるようなクラスをいっぱい考えている」と、意欲も十分。異色の経歴を持つ先生の今後にも大いに注目です。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』2024年5月13日放送回より