演劇と観光が学べる四年制公立大学「芸術文化観光専門職大学(CAT)」(兵庫・豊岡市)の学長も務める、劇作家・演出家の平田オリザさん。自身がパーソナリティーを務めるラジオ番組(ラジオ関西『平田オリザの舞台は但馬』)に、同校の4年生・北原真悠さんが出演。国際学生交流プログラムに参加する意気込みを語った。
北原さんが参加する「日米学生会議」は、1934年に創設された日本初の国際的学生交流プログラム。世界のさまざまな問題に対して、学生同士の活発な議論や活動を行うとともに、日米両国の参加者の相互理解を深めるために開催される。
第76回となる2024年度は、8月3日(土)〜 24日(土)までの期間、アメリカを横断する形で3都市(ロサンゼルス、ルイジアナ、ワシントンD.C.)を巡る。この間、日本人学生36名、アメリカ人学生34名の計70名が約3週間にわたって寝食をともにし、意見交換を行う。
北原さんは、7つある分科会のうち「社会起業家」に所属。現在は、合宿や勉強会、フィールドトリップなどを行い、分科会や日米関係についての理解を深め、本会議に向けた準備の真っ最中だ。
東京生まれの北原さんが、兵庫県にある同大学に進学した理由は3つあるという。
1つめが、これまで四年制大学のなかった地域に新設された、「芸術と観光を学ぶ」という新たな試みに取り組む大学に関わることができるという期待感。2つめは、コロナ禍において不要不急の施策が行われるなかで、文化芸術や観光が我々の人生にとってどのような意義があるのかを深堀したいという思い。そして3つめが、演劇が好きだということ。同大学が演劇の盛んな諸外国との交換留学プログラムを有していることが決め手となった。
入学後は、豊岡市役所農林水産科での実習において、人と環境にやさしい持続的発展を目指すさまざまな取り組みを体験。2023年春には演劇の名門大学といわれている韓国・ソウルの中央大学に留学。演劇だけでなく国際政治や教養も学び、充実の時間を過ごしたそうだ。
日米学生会議は、日本全国から多数の応募が寄せられる人気のプログラム。自身が選考された理由について、北原さんは「学生生活において多角的な視座から得た学びが影響したのではないか」と分析する。
学長を務める平田さんも、「都会にいると、人口減少のほんとうの痛みは感じにくい」と前置きしたうえで、同大学の強みについてこのように述べた。
「(その環境に)実際に身を置くことで、人の少なさや産業構造の変化が実感できる。都会のエリートばかりで人口減少についてディスカッションすると、都会の発想しか出てこない」(平田さん)