大学生がトップを務める企業が、いま、Z世代の思いや考えをいかして、福祉やバリアフリーの取り組みを広めるための活動をしています。
健康と福祉をテーマに、地域や地元企業が持続可能な社会へ対応できるようサポートを行う大阪の会社、CSK株式会社。アルバイトを含めて50人ほどの学生が所属していますが、彼ら若い世代の視点をいかしながら、社会課題の解決を目指しているといいます。
そのなかで特に力を入れているのが、障害者差別解消法の周知と、それに伴い企業の業務にバリアフリーの観点を取り入れるための試みです。
今年4月、改正障害者差別解消法が施行され、「合理的配慮の提供」が民間の事業者にも義務づけられるようになりました。
「合理的配慮」を具体的にどう提供していくかは、各企業にとっても喫緊の課題。そのなかで、同社は、段差がある場合にはスロープなどをつけて補助したり、筆談をする際に文字が小さくて読みづらい場合には大きな文字を書いたりするなどの「合理的配慮の提供」例を、各企業にアドバイスしています。
また、車いすのルートマップや、心疾患を早期発見するためのツール=携帯型心電計などを地域の人や企業内で導入して使えるよう、実際に企業に出向き、研修やセミナーなども展開。実際の研修では、全長1.5キロメートルのコースを車いすで周回してバリアフリーアクセスマップを作成したり、障害者差別解消法に関する講義を通じて企業の課題と対応策に関する話し合いを行ったりして、「合理的配慮の提供」への取り組みを周知しているそうです。そのなかで、企業側からは「障がい者がやってくることを考えたことがなかった」という声もよく聞かれたとのこと。
CSK株式会社の副社長で、兵庫県立大学の現役学生でもある伊澤陽希さんは、Z世代の目線の重要性を強調します。
「学生から見る社会と、大人の方から見る社会っていうのは、やっぱり違う。もちろん経験がいっぱいあって、過去のこととかも知っているのは、それはそれでいいことだと思うが、逆にそれが偏見というか、思い込みがある見方になってしまうことも。でも、学生はまだ経験が浅いからこそ、それをいかしてフラットに言えるようになるんじゃないかと思っている」
さらに、伊澤さんは「世代の垣根を越えて、いろいろな人が議論して対話を重ねて、より良い未来について話し合えるよう、大学生自らが、実際に社会に積極的に関わっていけるようなことが今、一番必要なのかなというのを学生目線から考えている」とコメント。SDGs=持続可能な社会づくりを目指すべく、若きリーダーは前を向いていました。
※ラジオ関西『Clip 木曜日』2024年5月23日放送回より