この日参加した大学4年の女子学生は「生まれ育った明石のまち、人が増えて、人どうしのつながりが深くなった。暮らしやすいし、これからも住み続けたい」と印象を語る。また「子育て支援の充実が明石市の人気につながっている。でもその分、お年寄りが取り残されているのではないか。急成長する明石だからこそ見えてきた課題もある」と指摘した。
30代の男性は、「市民目線のまちづくりは明石市の自慢」と述べた。一方で、「人口増加は、マンションなどでのコ ミュニティで、人とのつながりが希薄になる分、どのような形で交流するかを考えなければならない」という危惧もあるという。さらに「特にに大久保地区は若い人が同時に移住するケースが多く、その分、同時に高齢化が進むことも考慮すべき」とも話した。
丸谷市長は「丁寧に進める部分とスピード勝負をかける部分、緩急をつけながら取り組み、言葉を尽くす」ことを心掛けている。
そして、「対話って、時間がかかりそうに見えるが、課題が明らかになればスピーディーに解決するケースもある」と自信を持って話す。タウンミーティングは、障がい者、高齢者、子育て世代など幅広いジャンルで募り、子ども会議・若者会議の開催を経て現在は地域別で行っている。明石市のみならず全国的な課題である「ごみ減量化」については、市役所内の担当課からの要望が叶って実現し、紙回収専用のリサイクルボックス設置につながった。
かつて市民向けのワークショップを開いたことがある。神戸市の西、瀬戸内の一角を占める明石市は、JR山陽本線が東西に貫くが、ある地域では線路の南北で住民ニーズが異なった。公共施設の建設をめぐり、南側の住民から「私たちのエリアに作ってもらえると助かるが、北側と分散するような施設づくりがいいのではないか。土地の活用法も考えていきましょう」との意見が挙がった。往々にして自分の居住エリアの利便性だけを期待することが多いとされるが、丸谷市長は住民意識の高さに感心しきりだった。
泉前市長の後継として、何かと比較されることも多く、プレッシャーも大きかった。昨春の市長選、初当選直後に「火中の栗、だから拾った」と述べた丸谷市長。「時々、火中でその熱さも感じながら、やけどしそうになりながらも、笑顔を絶やさずに過ごせているのは、市民のみなさんと一緒に歩むことができたから」と微笑む。
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