ただし、100年以上の歴史がある建物は経年劣化が激しい部分もあり修復が必要でした。そこで鵜鷹さんは、まず元の銀行としての様相に戻すことを決断します。
経年劣化で土壁や漆喰(しっくい)がはげ落ちてしまいレンガがむき出しになっている部分は、隠すのではなく、あえて見せる形にすることで、建物が持つ歴史を感じさせるとともに、建物そのものの魅力を味わえるような工夫が施されました。
内装は、金庫など、もともとは銀行であったことがわかる部分を数多くしつらえ、そのうえでレストランとしての要素を取り入れるためアンティークショップで調度品を収集。それらの努力も奏功し、今ではレストランを楽しみに来る人はもちろん、建物そのものを建築的資料として興味を示す見学客が遠方からも訪れるようになったそうです。
「地域の大切なものをつむぐ、その一つの形が、この旧網干銀行湊倶楽部」と述べる鵜鷹さんは、「こうした古い建物や古民家再生が盛んに行われることで、網干地区では若い人が起業し活動拠点にするといったことが増えている」とまちの現状を前向きにとらえます。そのうえで、「どこか1つのスポットというよりも、ゆったりと街並みを歩いて、『あっ!?』と思うものを見つけて欲しい」と、網干地区への来訪を呼びかけていました。
旧網干銀行湊倶楽部について「食事をしながら大正ロマンを感じることができる。こうした形で残してもらえることは非常にありがたいこと」とコメントした清元市長。“歴史と文化の街”網干については、「ぜひ行ったことがない人も歩いてみて欲しい」と笑顔で語っていました。(西真莉恵)
※ラジオ関西『ヒメトピ558』より
※「旧網干銀行湊倶楽部」公式サイトより一部引用