大阪・関西万博の目玉「空飛ぶクルマ」を国内で開発するベンチャー企業・スカイドライブ(愛知県豊田市)が、万博では乗客を乗せずに「デモンストレーションフライト」とすることを明らかにした。公表は6月14日。
スカイドライブが開発する空飛ぶクルマは、パイロットを含めて3人乗り。垂直で離着陸ができることから、当初は万博会場・夢洲(ゆめしま)への輸送のため乗客を乗せる「商用運航」を予定していた。
しかし現状の開発計画に照らすと、安全性、環境適合性の基準を満たす型式(かたしき/けいしき)証明(※)を万博までに取得することは時間的に難しく、事実上の断念となった。
スカイドライブは大阪・関西万博に向けて、「デモフライトを多くの来場者の皆様に見ていただけるよう、引き続き開発にまい進する」としており、閉幕後の2026年以降に、日本での型式証明の取得と商用運航の開始、その後アメリカでの型式証明取得というスケジュールを予定している。
「空飛ぶクルマ」は、大阪・関西万博の事業のうち、近未来の生活を体験できる先進技術の実証事業『未来社会ショーケース事業』のひとつ、”スマートモビリティ万博”に分類される。
万博を運営する日本国際博覧会協会が、会場と大阪市内中心部や関西国際空港とを結ぶ交通手段として、2023年2月に運行事業者を選定していた。
運行事業者に選ばれたのはANAホールディングス(全日空)、JAL(日本航空)、ジョビー・アビエーション(トヨタが出資するアメリカのベンチャー企業)、スカイドライブ、丸紅の5社。
このうち丸紅とスカイドライブが、万博ではデモフライトにとどめると表明したことになる。
スカイドライブの福澤知浩・代表取締役CEOは、「空飛ぶクルマが、世界中の皆さんの”日常的な移動”となる未来を目指してまいります」とコメントしている。
※型式(かたしき/けいしき)証明~航空機の型式ごとに行われ、これを取得できなければ量産・販売は行えない。