「阪神大震災から4年と少し(中略)これを読んでる時はしあわせになってますように」「いつまでも素敵な神戸であってほしい」(以上、タイムカプセルメッセージより)。神戸市は、25年前に市民らから集めたタイムカプセルのメッセージをホームページで公開している。メッセージは1973年、神戸市が提唱した「神戸ファッション都市宣言」から25年を機に、99年に寄せられたもので、約2千個のカプセルに1通ずつ入った状態で保管されていた。市は氏名や住所の部分を伏せて、文面をホームページに掲載。希望する人には市の窓口あるいは郵送でメッセージを返却する。返却受け付けは9月末まで。
メッセージはファッション都市宣言25周年にあたる98年度(99年1~3月)、観光施設「北野工房のまち」(神戸市中央区・2023年12月閉館)と「神戸ファッション美術館」(同市東灘区)に専用の紙を置き、施設を訪れた市民や観光客が書き込む形で集めた。紙の上部には「ファッション都市 KOBE 2023」と印刷され、中央の円い枠内がメッセージ欄。「あなたの夢」や「未来の神戸に対する想い」をテーマに、幼児から80歳代までの約2千人が文章やイラストで当時の気持ちや将来への願いなどをつづっている。
タイムカプセルは、ファッション都市宣言から50年の2023年に開けられ、展示される予定だったが、メッセージに名前や住所なども記されていたため、個人情報保護の観点から市は展示を断念。昨年12月からホームページで、タイムカプセルを個別に返却することを知らせていた。だが、久元喜造市長が「このまま申し出た人に返すだけではあまりにもさびしい」とし、個人情報の部分を隠してホームページ上で公開することを決めた。
タイムカプセルの存在は、2023年1月、「北野工房のまち」ホームページの問い合わせフォームに届いた「25年前に預けたタイムカプセルはどこで返してもらえますか。見るのが楽しみ」という書き込みをきっかけに浮かび上がった。担当職員が所在を調査したところ、神戸ファッション美術館の収蔵庫から、直径約6センチの色とりどりのカプセルが入った段ボール8箱が見つかった。その後、タイムカプセルに関する当時の記者発表資料も確認されたという。
久元市長は「メッセージには、自分の夢が実現できているだろうかという思いのほか、(当時は)震災間もない時期で、神戸がもっともっといい街になるようにとの誓いや希望のようなものも感じられる」と述べ、「心当たりがある人はホームページを見て、受け取り手続きをしてほしい」と呼び掛けている。