取材申し込みの電話をした際の第一声に改めて店名のインパクトを感じました。
「はい。『365日後に閉まるお店』です」
神戸・三宮に今年4月オープンしたのは、その名も「365日後に閉まるお店~cafe&sweetsbar ジェラート&クロワッサン専門店~」です。ジェラートとクロワッサンが主役のスイーツ店は、店名の通り来年(2025年)4月にはお店を閉めるといいます。
店主の栗山さんはもともとパンメーカーに勤務。「パンを使ったスイーツ店をやりたい」と考え、近年ブームになっているクロワッサンに着目します。
「今、世間ではクロワッサンがブーム。専門店も次々とオープンし、味や見た目も新しいものがどんどん生まれているので、クロワッサンを軸にして、相性のいいジェラートの組み合わせで売り出していこうと考えました」(栗山さん)
同店一番人気の「クロワッサンジェラート」は、6種類のジェラートと3種類のクリームから自由に組み合わせ可能。そこに甘くてパリッと食感のクロワッサンが加わり、食べ進めるごとにジェラートが染みて変化を楽しめます。
それにしても、お店を立ち上げたのであれば、少しでも長く続いてほしいはず。1年で閉めてしまうメリットは何かあるのでしょうか?
「よく聞かれます。『本当は店を続ける気でしょ』とか、『クロワッサンブームが過ぎてもいいように閉められるようにしているのでしょう』とか……。ただ、本当に1年で閉める気ですし、もしブームが去ってすぐに閉めてしまっても、開店費用の回収など考えるとメリットほとんどないです。それでもクロワッサンを使ったスイーツ店が1年でどんなことができるのか試したくて挑戦しました」(栗山さん)
栗山さんはお店が1年限定にも関わらず新メニューの開発も行います。クロワッサンは甘いだけでなく、総菜パンとしてもおいしさを生み出せると、「カレーソーセージクロワッサン」を販売。ソーセージがジューシーで食べ応えのある一品です。
「1年後にあのお店なくなっちゃたんだと惜しまれながら閉店するのが目標」と語る栗山さん。来年の4月に閉店する時の様子は大いに気になります。そしてその先には、どんな未来が待っているのでしょうか。
※ラジオ関西『Clip』2024年7月3日放送回「トコトン兵庫!」より