今日3日に発行が始まった新紙幣。20年ぶりの刷新ですが、気になるのは「すぐにどこでも使えるのか」という点です。2021年に500円新硬貨が発行された際は、自販機などに「使えません」の文字を見掛けました。
スーパーやコンビニでも、年を追うごとにセルフレジやセミセルフレジが増加中です。新紙幣発行後の機器での対応について、釣銭機や両替機などの開発・製造を手がけるグローリー株式会社(兵庫県姫路市)の担当者に聞きました。
通貨処理機国内シェア1位の同社の製品は、スーパーやコンビニ、銀行窓口、病院などで幅広く使用されています。担当者によると、現在使用されている製品を新紙幣に対応させるには、大きく分けて3つの作業があると言います。(1)紙幣を読み取るためのソフトウェアとハードウェアの開発、(2)開発後の生産、(3)生産した製品を用いての現行製品の改造です。
同社では、その作業(1)から(3)まで全てを担っています。中でも生産に関しては、工場の容量にも限界があるため大変だったといいます。更に、約1年前は世界的に半導体などの電子部品が不足していました。最後の一部品だけが足りないといった状況も生じ、それ以外の部分を全て作って半導体が届くまで待機……という、変則的な対応にも追われたのだそうです。
気になる、最後の工程「改造」の完了割合は、業界調べで5月末時点で6割とやや少ない印象でしたが、担当者によると、以後の対応の加速が想定されるとのこと。というのも、スーパーなど店のレジの改造は、閉店後のみなどと時間の制約があるためです。作業の人手も限られている中、急ピッチで作業が進められているといいます。こういった現状から、「現行の釣銭機が新紙幣に対応していくのも時間の問題」と担当者は話しました。
更には、新紙幣の発行は3日ですが、広く一般に流通するまでには時間がかかると予想されるため、普段利用するスーパーやコンビニの機器が、発行時にもしも新紙幣に対応していなくてもしばらくは焦ることはなさそうです。
(取材・文=洲崎春花)