歯を磨いた後、どのように口をゆすぎますか? 何度もゆすぐ方や多めに水を口に含む方など、隅々まで綺麗にするために意識している人も多いはず。しかし、それがかえって仇となっている可能性があることを知っていましたか? 神戸常盤大学 口腔保健学科の先生に聞きました。
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普段、我々の口の中では知らないうちに様々な現象が起きているそうで、「歯の表面(エナメル質)では、『脱灰』と『再石灰化』が繰り返されています。脱灰とは、食べたり飲んだりした糖分を餌に、細菌が産生した酸により、エナメル質の表面が溶けることです。再石灰化とは、唾液に含まれるリンやカルシウムにより、エナメル質が修復されることです」と先生は言います。
こうした脱灰と再石灰化を繰り返す中で『フッ化物』という物質が重要となるそう。先生によると「フッ化物は、リンやカルシウム成分とともに歯に取り込まれ再石灰化を促進、歯の修復を助ける働きがあります。また、酸に対する抵抗性も強くなります。そのためフッ化物配合歯磨剤(歯磨き粉)を使って歯磨きをした直後にうがいをし過ぎてしまうと、フッ化物が歯に取り込まれる前に口から吐き出してしまうことになります。歯磨き後の口ゆすぎは少量の水で行うことが、最近では推奨されています」とのこと。
口の中を綺麗にするために何度もうがいをしてしまいがちですが、し過ぎることで歯を守る成分まで落としてしまっているとは.....。先生におすすめの口腔ケアについて聞くと、「歯ブラシや歯間ブラシなどを使った機械的清掃をしっかりと行うことです。うがい薬で口をゆすぐだけでは、歯の表面に付着した歯垢を落とすことができません。歯垢を落とすことで、虫歯や歯周病の予防に努めましょう」とのこと。口内環境を良好に保つためには“基本的なこと”をきっちり行うことが大切なようです。
※ラジオ関西『Clip水曜日』2024年6月19日放送回より
(取材・文=迫田ヒロミ)