災害発生時や山で遭難したとき「方角を知る」ということは非常に重要です。しかし、コンパスを持っていないときやスマートフォンの充電がない場合はどうしたらいいのでしょうか。「方角を確かめることができない!」と焦りそうになりますが、実は“よい方法”があるのです。
☆☆☆☆
その方法とは「アナログ時計」と「太陽」を使う方法です。誰でもできるので、ためしてみるといいかもしれません。やり方を簡単に説明します。
【アナログ時計を使って方角を知る】
時計を水平に保ちながら、時針(時間を示す短い針)を太陽の方向に向けます。その時、時針と文字版の12時の中間にあたる方角が南です。24時間で時針が一周する“24時針付き”の時計の場合は、その時のダイヤルの12時の位置が常に南を示します。通常の時計の時針は12時間で一周するため、24時間で一周する太陽の倍のスピードで針が回っています。そのため、半分に補正する必要があり、時針と12時を示す位置のちょうど中間の方角が南の位置となるのです。また、午前は文字板の左側、午後は文字板の右側が南になる点に注意が必要です。
日本では実際には明石標準時の南中を12時としているため、明石以外の地域では誤差があります。また、正確に太陽の方向に時針を向けることも難しいため、あくまで方角の目安と考えてください。また、南半球では時針と12時位置の半分の位置が逆となり「南」ではなく「北」になります。
【太陽で方角を知る】
昼の12時に太陽が真南の一番高い位置にある時を“南中”といいます。これがわかれば、東・西・北を割り出すことができます。
☆☆☆☆
普段の生活で方角を気にすることは多くはありませんが、いざという時にはとても重要な要素となります。デジタル技術を便利に使うと同時に、「アナログな知恵」も持っておくことは必要なのかもしれません。
(取材・文=迫田ヒロミ)
出典:セイコーミュージアム 銀座