夏休みがもうすぐ始まります。花火大会や海水浴など、子どもたちにとって楽しみであろう“夏休み定番スポット”は数々あり、水族館もそのひとつに数えられるのではないでしょうか。
水族館といえば色々な種類の魚を見ることができますが、筆者がふと感じた疑問があります。それは、「魚同士でぶつかったり、水槽の透明ガラスにぶつかったりしないのか」ということ。海遊館(大阪府大阪市)に話を聞きました。
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【魚同士でぶつからない理由】
イワシの群れのような密集している魚たちがぶつからずに泳げる理由について、担当者によると「魚は自分の周りの水流や水圧を感じるための“器官”を持っているからです。そのため、魚同士の距離感をつかむことができぶつかることなく泳げるのです」とのこと。この器官は「側線(そくせん)」と呼ばれており、通常魚体の左右それぞれ対で備わっています。魚の視力は人間ほど良くないので、水中で周りの状況をより多く取り入れるすべとして側線が発達したと考えられています。
【魚が水槽のガラスにぶつからない理由】
「大前提として、ガラスにぶつかる魚もいます」と担当者。それでも、水族館でガラスにぶつかっている場面をあまり見ない理由として「魚が水槽の環境を把握しているか否か」というところが大きいそう。
例えば、ジンベエザメがはじめての水槽にやってくると、槽内の形などをしっかり把握できていないため衝突する可能性があるのだとか。そのため水槽に入れた直後は、5~6人のダイバーを水槽の壁際に配置し、ジンベエザメが寄ってきたら手を振るなどして「こっちは水槽ではない」ということを伝えます。こうすることで、魚も徐々に槽内の状況を把握していくのだそう。
「よくガラスにぶつかっているのはマンボウですね。マンボウはああ見えて、実はかなりのスピードを出して泳ぎます。そのわりに方向転換が苦手なので壁に衝突してしまう。これを防ぐため、マンボウの水槽にはガラスの手前にクッションの役割をする透明のシートを設置しています。海遊館にはいませんが、マグロも似たような感じですね」(担当者)
魚が水槽の壁面に滅多にぶつからないのは「水槽の環境に慣れているから」という理由の他に、水族館では水槽内が明るく人間が通る通路は暗くなっていることが多いため「闇の方には近づかない」という点も考えられるそうです。
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海遊館の担当者によると、槽内清掃しているダイバーからガラスの向こうにいる人間の姿は見えているものの、それは真正面の時だけ。それ以外は反射して死角になっているそう。作業中のダイバーに手を振る場合は、横からではなく正面から手を振る方が反応してくれる可能性が高いそうです。水族館に行ったら試してみると良いかもしれません。
※ラジオ関西『clip火曜日』より