後期印象派の画家フィンセント・ファン・ゴッホ(1853~1890年)の名品を集めた展覧会「大ゴッホ展」が2025年度、神戸市立博物館(神戸市中央区)で開催されることになり、主催の神戸市、神戸新聞社などが23日、概要を発表した。同展は、25年に阪神・淡路大震災から30年を迎えるにあたり行われる取り組みの1つで、26年には東日本大震災から15年となる福島県へ、その後東京都へと巡回する。
ゴッホのコレクションで世界的に有名なオランダのクレラー=ミュラー美術館所蔵の優品約60点に加え、モネやルノワール、ミレー、ピサロ、シスレーなど、同時代の画家らの作品約10点を公開する。
展示の目玉は、ゴッホの代表作の1つ「夜のカフェテラス」(1888年)。夜空の青色とカフェの黄色い灯りが鮮やかな対比をなし、活気と希望にあふれる夜の街角が描かれた傑作で、ゴッホが南仏アルル地方に住んでいた時代に手掛けたもの。約20年ぶりの来日となる。
神戸市役所で開かれた発表会見には、久元喜造神戸市長らが出席。同市長は「震災の後、神戸市民は文化芸術に勇気づけられた。(展覧会)開催のたすきを福島に渡したい」と述べ、「たくさんの人に足を運んでもらいたい。高校生以下は観覧無料なので、若い世代にも楽しんでほしい」と呼び掛けた。
神戸新聞社の高梨柳太郎社長は、福島展の主催メンバーである福島県の地元紙「福島民報社」の関係者が会見場に来ていると紹介し、「復興へ向けた絆をあらためて再認識する取り組みになっていけば」と話した。
会見では、クレラー=ミュラー美術館のベンノ・テンペル館長によるビデオレターも上映。同館長は「ゴッホは困難に満ちた人生を送りましたが、芸術によって問題に立ち向かい、継続する力を見出しました。このような機会(展覧会)を提供することで、神戸をはじめとする日本の人々に元気と勇気を届け、未来に向けてより輝くための原動力となることを目指します」とメッセージを寄せた。
また2027年2~5月ごろ、同展の第2期開催を予定していることも発表された。「オランダの国宝」と称される「アルルの跳ね橋」(1888年)の出品に向けて調整が進んでいるという。
「大ゴッホ展」(第1期)は2025年9月20日から2026年2月1日までの113日間、神戸市立博物館で開催される。