昨今、日常生活においてコンビニでアイスを買うことは、もはや「当たり前の消費行動」となっています。ですが、この行為が実は危険を招く可能性があると知っていましたか? 危機管理行動家の河合成樹さんに話を聞きました。
☆☆☆☆
「アイスは早く食べるか冷凍庫に入れないと溶けてしまいます。そのため、家の近くで買うことが多いですよね。つまり『コンビニでアイスを買う』ということは、比較的近所に住んでいるであろうことが推測されます。そういった目星をつけやすい行為は犯罪に繋がる恐れも。コンビニでアイスを買ったら持ち帰るのではなく、その場で食べてしまうのがベターです」(河合さん)
また、夜のコンビニはターゲットの物色にも使われることがあるそう。「明るいコンビニの店内にいると、暗くなった外から見られていても気づきにくいのです。ターゲットを物色するのに最適な状況と言えます」と河合さん。
今では当たり前となっているSNSへの投稿も、危険を招く行為のひとつなのだとか。「SNSへの投稿によって、投稿者が“誰”で“どういう状況にあるのか”が分かってしまいます。旅先での写真をSNSに投稿する人もいますが、それは自宅にいないことを知らしめていることにもなります」と河合さん。
善意のSNS投稿が思わぬ影響を及ぼすこともあると、河合さんは注意を促します。「例えば……偶然道端に落し物を発見したため、お知らせとしてSNSに投稿。その情報が拡散されたとします。しかしこの行為は最悪の場合、落とし主の個人情報を不用意に広めてしまう可能性が。落し主がストーカーなど犯罪者のターゲットになっている場合、『あの子はこの地域に住んでいる』などということが知られてしまいます。たとえ善意だとしても、SNSに投稿する際はリスクを考えることが大切です」。
天気に関する写真のSNS投稿も危険だそう。「空模様や雨の降る様子など、天気の写真に写りこむ景色から所在地を割り出されることもあります。建物の屋根の形や看板・角度を手がかりに、どの建物の何階に住んでいるかまでもバレてしまう可能性は決して低くありません。台風関連の投稿も、大まかではありますが所在地を特定することができます。『台風は広範囲に影響するため大丈夫』と思うかもしれませんが、過去の投稿から本人の居場所を特定する情報を探し出されかねません」
続けて河合さんは「食事の写真からでも行動範囲を絞ることは可能です。一つの写真だけでなく、小さな情報を少しずつ組み合わせることによって詳細な位置や個人を特定する情報を見つけることが可能なのです。SNSはストーカーも利用しており、様々な危険性をはらんでいます。長くSNSを使っている人はある程度絞り込まれている可能性も」と警鐘を鳴らしました。
SNSでの危険から逃れるためにはどういった対策が必要なのでしょうか?
「基本的に、個人を特定する際に使われるのは『モザイクアプローチ』という手口です。先にも述べたように、ひとつひとつから分かることは少ない写真でも、モザイクのように組み合わせていくと具体的な情報となり得ます。個人を特定される仕組みを理解した上で、心当たりがある投稿は削除・非公開にする手段をとることが大切です。それに個人情報が知られてしまう可能性のある写真は、発信前に加工を施すことが必須ですね」(河合さん)
☆☆☆☆
「コンビニでのアイス購入やSNS投稿など、いずれも“いたって何気ない普通の行動”です。これらの行動を積極的に抑制した方がいいのかと言うと、そういうわけではありません。日常を便利に楽しく暮らすためにリスクを知ることが重要なのです」と河合さんは語ります。自分を守るためにも情報が悪用される方法と対策を知っておく必要がありそうですね。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip火曜日』2024年7月30日放送回より