酒どころ・灘五郷の酒造大手・日本盛株式会社(兵庫県西宮市)は、日本酒を敬遠しがちな若い世代をターゲットに「日本盛 JAPAN SODA 180ml ボトル缶」を2023年に発売した。
日本酒ならではの華やかでフルーティな香りを楽しめる、甘さ控えめで後味爽快な味わい。従来の日本酒では合わないとされていた、こってりした食事にも合うようにした。
日本酒の市場は1973(昭和48)年度をピークに規模縮小傾向。1970年代の3分の1まで落ち込んだという。特に40代以下のシェアが低く、”愛飲ユーザー”も50代以上が中心。次世代ユーザーの獲得が日本酒市場の大きな課題となっている。
厚生労働省の「国民健康栄養調査」によると、20~40代の飲酒スタイルとして、1~2杯程度で終える割合が非常に高く、飲酒の後半に飲まれることが多い日本酒は、選択肢に挙がりにくい傾向にある。
日本盛株式会社 マーケティング部・栃谷亜紀子さんは、「“日本酒(原酒)離れ”は著しく、チューハイやハイボールの人気も、同じような現象とみることができる。そもそもアルコールを飲まない人が増えていることもあるが、家で日常的に飲酒習慣のある人の中でも、日本酒が選択肢にはいらない人が7割を超える。日本酒自体が、時代に合わせて、“アップデート”する必要があるのでは?というのがきっかけ」と話す。
そこで日本盛が「炭酸・低アルコール・食との相性」の組み合わせで開発に着手。誕生したのが「JAPAN SODA」だった。
栃谷さんは「炭酸を入れることにためらいはなかった」と話す。スパークリングの日本酒は市場にすでにあったが主な製品は「特別な日に」、というおしゃれな瓶での提案。チューハイやビールが日常的に飲まれていることを考えると、炭酸というものはそもそも特別なものではないし、日常的な飲料として販売した。
甘くなく、食事の邪魔をしない、飲み飽きないもの、という点を工夫した。お米と米麹だけで製造している。日本酒をなにかで割ったものではなく、「日本酒そのものが、こんなに飲みやすくなるんだ」ということをぜひ体験してほしいと願う。
今年(2024年)、“柚子風味”を新たに加えた。日本酒ソーダに相性のよいフレーバーを検討し、柚子の皮を少しスライスして散りばめたような香りを感じることができるという。
食事と日本酒のペアリングの魅力を楽しめるのも魅力だ。栃谷さんは「他の酒類にくらべると、日本酒にはアミノ酸が多く含まれるので、食事に含まれる旨味との相乗効果で、よりおいしく感じていただける」と自信をのぞかせる。
【日本盛 JAPAN SODA ブランドサイト】
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