夏はゲリラ豪雨や夕立など、想定外の天気に悩まされることも多い季節。ですが、飛行機雲を見れば天気が予測できることをご存知でしたか? 夏休みの自由研究のテーマにもできそうな「飛行機雲と天気の関係」について、日本気象協会の小島雅子さんに話を聞きました。
☆☆☆☆
そもそも、どのようにして飛行機雲は作られるのでしょうか? 小島さんによると「飛行機雲は、飛行機が空を飛ぶときに、エンジンから排出される水蒸気によってできます。上空の温度はとても低いため、エンジンから出る水蒸気が急速に冷やされて氷の粒になります。この氷の粒が白い雲のように見えるため、『飛行機雲』と呼ばれています」とのこと。
では「飛行機雲を見れば天気が予測できる」とは、どういうことなのでしょうか? その仕組みは空気中の水分に関係していると小島さん。「空気中の水分が多いと、飛行機雲は長く残ります。飛行機雲が何時間も空に残っているときは、天気が崩れる可能性があります。逆に、飛行機雲がすぐに消えてしまうときは空気中の水分が少なく空気が乾いているので、しばらく晴れることが多いです」と説明。
このように、飛行機雲など自然現象を見て天気を予想ることを「観天望気(かんてんぼうき)」と呼ぶのだとか。
「昔から人々の生活は天気に大きく左右されてきました。現代のように気象予報などありませんから、雲の形や動きや風の強さ・方向などで『明日は雨が降りそうだな』とか『今日は晴れそうだな』と予想していたのです。例えば『夕焼けが綺麗に見える日の翌日は晴れ』という観天望気があります。これは天気が西から東へと変化するため、西側に雲がなく晴れていれば翌日は晴れると予想できるというものです。反対に『朝焼けが綺麗に見える』と、その日は天気が崩れることが多いです。観天望気は100%当たる訳ではありませんが、昔の人たちは自然をじっくり観察することで天気を予想し生活に役立てていました」(小島さん)
こうした観天望気はことわざにも残っているそう。「ツバメが低く飛ぶと雨……ということわざは観天望気の一つです。低気圧が近づいてくると空気が湿ってきて、ツバメのエサとなる小さな虫が湿気の重みで低い位置を飛ぶようになります。その虫をツバメが捕まえるために低く飛ぶため、雨が降ると言われています」(小島さん)
自然の様子を見て天気を予想する観天望気。この夏休み、家族みんなで空を眺めてみるとおもしろいかもしれません。
(取材・文=迫田ヒロミ)
※ラジオ関西『Clip火曜日』より